滋賀県中小企業家同友会

委員会活動について-共育委員会-

2022年度 立命館大学経済学部「キャリアデザイン」講義第11講で木村 一弘さん(山一産業㈱ 代表取締役社長)がご講演されました。

共育・求人委員会 その他活動

[自己紹介・自社紹介]
山一産業㈱は主に精密板金加工と機械加工、組み立て事業を行っています。自動販売機や改札の部品を作る製造業です。コロナ禍で売り上げが下がったときにキャンプ用品を製造する事業も始めました。現在は男性36名、女性16名の計52名の社員を雇用しています。いわゆる町工場のような会社で、大卒の社員は10人ほどいます。これからは新卒採用が増えるように、よい会社づくりを続けています。木村さんは幼少期から山一産業㈱の後継者として育てられてきました。学生時代になんとなく敷かれたレールの上を走っているようで嫌気が差し、高校・大学と家から離れたところに通っていました。大学を卒業後は神奈川県の機械メーカーに就職し、3年間SEとして働いていましたが、28歳のとき滋賀に戻り山一産業㈱に入社しました。

[社内改革]
木村さんが山一産業㈱を入社したとき、社内はやる気のない社員ばかりで、仕事をしようという雰囲気ではありませんでした。当時の社長は木村さんから見て叔父にあたる方でした。木村さんは早く上に上がっていきたいと考えていたので、まずは現場に入って作業を覚えていきました。多くのことを吸収するつもりで、がむしゃらに働いていましたが、ある日叔父様が急逝してしまいます。当時は15名ほどの会社の規模で、誰かが次の社長になるかを早急に決めなくてはなりませんでした。当時入社3年目の木村さんが社長になりました。木村さんは何もわからないまま、会社を存続させるために必死で仕事をこなし、親会社に営業をかけて売り上げを伸ばしていきました。
売り上げは伸びて利益も順調だったものの、お客様からの評価は良くありませんでした。会社の中の雰囲気も良くなく、離職が相次ぎ、いざこざや言い争いが絶えない環境で、木村さん自身も笑うことがほとんどありませんでした。社員がどんどん辞めていく状況に、このままじゃマズいと考えるようになります。「社員に働いて良かったと思ってもらえる会社にしよう」と考えを改め、社内改革に取り組み始めます。まずは社員との個人面談から取り掛かりました。年に3回実施し、木村さんもコーチングの勉強をしながら、社員の話に耳を傾けることに注力しました。また、経営のことを勉強するために同友会に入会し、ひとりよがりだった考えをどんどん変えていきました。5Sの徹底、人事評価制度の導入、就業規則の改訂など社内改革を進めていくたびに、会社の雰囲気が次第に良くなっていきました。社内で結婚するような社員や自分の息子を入社させてくれる社員も出てきました。

[会社のこれまでを振り返って]

木村さんが経営者としてのこれまでを振り返ってみて分かったことは、社内の全ては環境によって変化するということでした。木村さんは最後に「経営者が社員の個性や意見を引き出していくことができれば、会社は良いほうに進んでいきます。経営者が絶えず学び、変化していくことが、中小企業に求められています。これからも新卒採用ができるような、誰もが働きやすい会社を目指して経営に向き合っていきます。」とこれからの抱負を語られました。