(一社)滋賀県中小企業家同友会と立命館大学経済学部との連携協定に基づいてスタートした同学部2回生対象の「キャリアデザイン講義」(担当:共育・求人委員会)第8講が11月21日(木)16:20~17:20まで立命館大学 びわこ草津キャンパス(BKC)で開催され、㈱PRO-SEED代表取締役 青栁孝幸さんが「㈱PRO-SEEDと地元・彦根 ~彦根をエンジニアの街に~」をテーマにご講義いただきました。
【青栁さんと創業の経緯】
青栁さんは神奈川大学工学部経営工学科を卒業後、エンジニアの経験を経て、30歳で彦根市にて個人事業を創業しました。その後2001年に㈱PRO-SEEDを設立しました。
青栁さんがエンジニアに興味を持たれた理由は、1980年当時10歳の頃に親にコンピュータを買い与えられ、ゲーム攻略のためにソースコード(プログラミング言語の文字列)を修正したことがきっかけでした。
【㈱PRO-SEEDについて】
㈱PRO-SEEDはPLC (プログラマブル ロジック コントローラー)と呼ばれる自動機械を制御する制御装置のプログラミングのほか、制御部品を取り扱っています。2006年からドイツ・シーメンス社製PLCの取り扱いを始め、2010年にシーメンス・ソリューション・パートナー契約を締結しました。納品先は多岐に渡り、自動車・食品・医薬品工場や空港の荷物検査システムで使用されるPLCの設計を行っています。
日本のPLCは三菱電機製が多くのシェアを占めていますが、世界ではシーメンス社製が35%を占めます。シーメンス社の日本でのシェアは3%ですが、近年は輸出向け機械の生産ラインで使用されるPLCがシーメンス社製であることから、大手企業から多くの受注をうけています。
【ロボット教室の運営と実績】
また、彦根市内で小学生向けのロボット教室を運営しています。2018年6月に開校したロボット教室の生徒数は滋賀県下最大となり、生徒の全国大会で優勝した実績もあります。ロボットはプログラミングを打ち込んでも、命令したとおりに動作すると限らないので、生徒自身の試行錯誤が不可欠です。青栁さんは「プログラミングの学習はただ動き方を勉強するのではなく、ロボット操作の追求によって思考力を養うことができる」と伝えました。
【ショールームの建設について】
青栁さんは今年、彦根市にある現在の社屋の向かいの土地を購入し、シーメンス社の機械のショールームを建設する予定です。外観は一部がガラス張りで、その中にスマートストッカーと呼ばれる物流倉庫で使用される荷物を機械が自動的に動かす自働倉庫を設置します。そのロボットによってブロックが積上げられると絵柄が浮かび上がる仕組みで、人目を強く引くデザインになる予定です。このプロジェクトを『SHIENプロジェクト』と名付け、長く働く社員さんの意思を多く取り入れています。
【学生に向けて】
青栁さんは、プログラマーやエンジニアには「なぜまっすぐすすむのか」、「なぜ曲がるのか」を考えることが求められるため、『すべての物事に理由を求める人』に適性があるとおっしゃいます。青栁さんは文系出身の社員を例に挙げ、文系未経験でも1年程で関西空港の荷物検査システムにPLCプログラマーとして関わるまでに成長したことを紹介しました。エンジニア職には理系しかできないと思われがちですが、実際に活躍しているので、経済学部の学生であってもエンジニアに挑戦してほしいと語りました。最後に青栁さんは学生に「あなたの夢は何ですか」と問いかけ、起業した当時の自分が夢に向けて燃え上ったこれまでの人生を振り返り『夢は逃げない 自分が逃げている。』『だからこそ諦めず行動してほしい』と夢を持つ学生に主体的に行動してほしいとまとめました。
(記 事務局員 横江裕聖)