滋賀県中小企業家同友会

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11月14日 立命館大学「キャリアデザイン」講義第8講でフランチャイズビジネスインキュベーション㈱代表取締役 山本昌弘さんが講義をいたしました。

共育・求人委員会 その他活動

(一社)滋賀県中小企業家同友会と立命館大学経済学部との連携協定に基づいて行う同学部2回生対象の「キャリアデザイン講義」(担当:共育・求人委員会)第8講が11月14日(木)16:20~17:20まで立命館大学  びわこ草津キャンパス(BKC)で開催されました。フランチャイズビジネスインキュベーション㈱代表取締役 山本昌弘さんより「キャリアデザイン」をテーマに、自社社員との対談形式で講義をいただきました。

 

【 フランチャイズビジネスインキュベーション㈱(以下略称F.B.I)について】

 

日本全国でFC展開支援と、FC運営本部を主な事業とする会社です。2020年に設立した、自社ブランド『うなぎの成瀬』はわずか2年で全国300店舗開業を達成しました。飲食店事業の他にトリミングサロンや放課後デイサービス等の複数の事業展開を行っています。

山本さんはFC展開で本部と加盟店の双方が、良好な関係を築けることを信念とされており、廃業率を極限まで低く抑えることを目標としています。そのため、加盟店企業や事業オーナーが順調に売上げを伸ばすことができる環境づくりを整え、本部だからこそできる支援をしていきたいとおっしゃいます。

 

【山本昌弘さんの経歴とF.B.I創業の経緯】

 

山本さんは高島市新旭町太田の出身で、高校卒業後は進学や就職に乗り気になれずイタリアに3年間語学留学。帰国後、英会話教室で知られる㈱ECCに入社しました。㈱ECCの利益はECCジュニア教室のFC加盟料が多くを占めます。その「儲けの構造」を知り、在職時からFC運営に興味を持たれました。後におそうじ本舗FC運営本部に転職。コロナ禍のリモートワークで時間に余裕が生まれたため、独立に向けて準備をはじめました。独立直後は個人事業で「FCオーナーを探して加盟店を獲得する仕事」で月収500万円を達成。しかし翌月は自身がコロナに罹患してしまい月収がゼロになったことから、一人の身体では限界があると痛感し、法人化を決意しました。

 

【なぜ「うなぎ」を選んだのか】

法人化後FC事業のスタートとして、横浜に「うなぎの成瀬」の一号店を開店しました。飲食店事業は立地によって売上げが大きく左右されると言われています。たとえ集客を見込める立地に出店できたとしても、経費の負担が重くのしかかります。そのため、二等地や三等地に出店して経費を抑えて、高品質のうなぎを低価格で提供することで利益を確保する戦略です。しかし売上が好調だったのは初日だけで、そこから日を追うごとに売上は減っていきました。

山本さんはX(旧 Twitter)で、『本日の○○店の売上は○○万円でした。雨が降っていましたが上出来です!』といった具合に、SNSで売上を公開し、いかに集客して売上げを増やすかについて考える毎日を過ごしました。転機となったのは、女性向けクーポン誌でお店の記事が取り上げられたことでした。クーポン誌の記事が大手のニュースサイトに転載され、多くの人の目に触れたことにより、一気に客足が伸び始めました。「バズる」ことの力を肌で感じた山本さんは、うなぎ専門のFCが珍しさも相まってメディアの取材を次々と引き受け、一大うなぎブランドへと成長しました。

 

山本さんはランチの価格帯を例に挙げ、「一般的に1000円以上の昼食は消費者に敬遠される傾向があります、しかしうなぎを3000円以下で提供できれば、消費者はむしろ安いと感じてくれます」と強調。加えて、うなぎ屋は個人経営の店が多いので、FC展開を図ることで世間にインパクトを与えたかったと振り返ります。

【高島市への思い】

山本さんは中学卒業後、長らく高島を離れていました。10年ぶりに帰省したときには街から活気がなくなり、寂しくなっていると痛感し、高島市の人口減少による地域の閉塞感を解決したいという思いから、高島市を盛り上げる様々な活動を行っています。その一環として、市に税金を納めて市政に貢献することを目的として、F.B.I本社を東京都から高島市へ移転しました。また、高島市の産業を発展させるために、『うなぎの成瀬』で使用するお米を高島市で生産したものに切り替えたいとも考えています。また、自社展開ブランドの『本格よもぎ蒸しサロンaun』を高島市から出店することで、FC経営は立地に関わらず収益をあげることが出来ると証明をしたいと今後の展望を語りました。

 

【学生らの主な質問】

Q:「うなぎの成瀬の今後の展開は?」

 

Ans: 「海外への出店を準備中です」「開店を希望するオーナーが現在100人以上もいらっしゃるので、さらなる拡大を目指していきたいです」

【学生に向けて】

山本さんは自身のキャリアを振り返り学生に向けて、「最近は卒業後すぐに起業するケースもあるが、社会人経験を積んでからでも遅くはないので起業を若い時に焦ってする必要はありません」「年齢を重ねると、同期や同年代の相手が取引先での決裁権をもっているため、交渉後すぐに取引に進むことができる利点がある」とおっしゃいました。また、ご自身がポジティブさを武器にし、ビジネス拡大に邁進した経験をもとに「ネガティブな精神を持ってしまうと行動が停まってしまいよくない。迷ったときもポジティブに行動をし続けてください」と学生に心の持ちかたの大切さを伝えられました。

 

(記 事務局員 横江裕聖)