滋賀県中小企業家同友会

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1月9日 立命館大学「キャリアデザイン」最終講義で宮川草平ユニバーサル委員会委員長(宮川バネ工業㈱代表取締役)が講義をいたしました。

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(一社)滋賀県中小企業家同友会と立命館大学経済学部との連携協定に基づく「キャリアデザイン講義」最終講義

1月9日(木)16:20~17:20まで、立命館大学びわこ草津キャンパス(BKC)で、同学部2回生を対象にした「キャリアデザイン講義」の最終講義が開催されました。この講義では、宮川バネ工業株式会社の代表取締役 宮川草平さんが「中小企業の経営戦略」~経営戦略から「よい会社」を見抜き就活に活かす~をテーマにご講義いただきました。

宮川バネ工業㈱(滋賀県東近江市園町)は、パナソニックや日本発条などの大手企業と取引がある日本有数の板バネメーカーです。身近にある板バネは、電池の端子部分や自動車のブレーキパッドなどに使用されていて、「目立たないけれども生活には欠かせないニッチな部品を製造している」と仰います。

 

現社長の宮川さんが事業承継をした直後は、人手不足や早期離職などの課題を解決したいという思いから、全社員との個人面談を実施し、会社に対する不満ひとつひとつ受け止めていきました。面談を通して、職人気質な社内風土と、社員教育不足が早期離職や社員の不満につながっていることがわかりました。こうした課題解決のために、宮川さんは100社以上の企業に赴き、勉強会や見学会に参加していきました。その結果、「よい会社には共通点がある」ことを発見しました。それは業務内容や社内活動に独自性があり、その実現に向けて経営計画に基づいた営業~製造現場~設備投資に一貫性をもって取り組まれていることです。

 

宮川さんは、よい経営には「経営理念」が必要だと強調し、「組織は何のために存在し、誰にどう売るかが経営戦略の核心である」と述べました。そのためには、経営指針を成文化し、具体的な戦略を策定することが重要だと語りました。

 

【宮川バネ工業㈱の経営理念について】

私たちのバネ製造技術で お客様の夢を叶える道具の実現に貢献します。
今日できないことは明日できるように、日々進歩を続け
より良い仕事、より良い職場を追求します。

 

経営理念に基づき、社内の経営課題の改善に向けて、SWOT分析を実施しました。SWOT分析とは自社の内部環境と外部環境を、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)として洗い出し、分析する手法で、企業や事業の現状を把握するためのフレームワークです。

 

分析当時の宮川バネ工業㈱には人手不足という弱みがありました。そこで同社は2016年頃から新卒採用を積極的に行い、現在ではほとんどの採用が新卒入社になっています。製造業で人手不足や採用困難が問題となる中、宮川バネ工業㈱は残業の少なさや有休消化率の高さなどの働きやすさを全面的にアピールして積極的な採用活動を行っています。

また、宮川さんは自社の脅威として、ニッチな部品を製造しているため、将来に良い展望が見られないことから、次第に売上げが減少するのではないかと考えました。しかし、近年は大手の生産工場が人手の必要な作業を外部に委託することが増え、人手不足ではない宮川バネ工業㈱に製造の依頼が来るようになりました。

これを再度、SWOT分析に当てはめることで「誰もが働きやすい会社をつくり、人手の必要な作業で売上を立てる」という経営戦略を定めました。

 

宮川さんは就活の軸を定めるためには、自分の人生の目的を決めて、他責にしないこと。つまり「主体性をもって人生設計や就活に取り組むことが大切です」と語られました。

また、近年は就活事情の変化から、インターンシップ参加が大企業を中心に必須となっています。それに伴い中小企業でもインターンの受け入れが進んでいます。職場体験に参加して宮川バネ工業㈱に入社した従業員は離職率が低くなることから、宮川さんは、インターン参加は会社と新卒者の双方にとってよいものになると手ごたえを感じています。

 

最後に、学生には積極的にインターン参加をすることで、同じ業種であっても会社ごとに異なる経営の方向性を肌で体感してほしいと、職場体験の効果を強調されて、講義を締めくくられました。