滋賀県中小企業家同友会と立命館大学経済学部との協力協定に基づいてスタートした同学部2回生対象の「キャリアデザイン講義」(担当:共育・求人委員会)第7講が5月24日(木)16:20~17:50まで立命館大学びわこ・くさつキャンパスで開催され、㈱ジョーニシ 常務取締役 中野裕介さんより「ローカルメーカーの地域密着戦略~採用・共育とグローバル生産体制づくり~」をテーマに概要以下の通り講義をしていただきました。
㈱ジョーニシは1936年に創業。農機具やホームセンター用の什器の設計・製造・販売に取り組み、国内では滋賀県だけでなく九州や関東にも営業所を置き、海外では中国にも工場を作るなど、大きく事業展開をされています。
会社というのは、経営理念(ビジョン)を必ずもっています。そこには、創業者や経営者の考え(どういう会社にしていきたいか)が書かれています。そのため、経営理念に書かれている言葉は、就職活動をするうえでとても重要です。理念と自分の考えが近いかどうかを知るだけでも、就職後のミスマッチを防ぐことができます。
例えば、世界で戦える人間になりたいと思っている人が経営理念に「グローバルで活躍できる会社になる」などと書かれているような企業を選ぶと、将来、働きたいであろうところで働くことが出来る可能性がありますが、「地域の~」などが書かれている企業を選ぶと、その夢が叶えられないこともあります。
ほかにも、人間関係をしっかり考えている企業に行きたいと思っている人が「個の力を最大限に生かし~」と謳っている企業を選ぶと、ミスマッチが起こって、結果、不幸なことにもなりかねません。
㈱ジョーニシの経営理念は「共存共栄」ということで、お客様、地域、社会、従業員と共に在り、共に栄えるということを大切にしておられるそうです。
一人でしたいという人には向かない会社で、モノづくりが好きで仲間と共に創りあげたいという人に合う会社、ということが経営理念から読み取れます。
ほかにも自分に合った企業かどうかを知る手段としてインターンシップがお勧めで、できれば、大企業と中小企業の両方を経験する方が良いとのこと。両方経験することで規模の違いや働き方の違い、そして考え方の違いなど様々なことが見えてくるはずです。そこでの体験は、自分に合った働き方を見つけることのできる、非常に価値のある経験になるはずです。ぜひインターンシップに応募してみて下さいと呼びかけました。
つぎに、「働きがい」についてお話いただきました。
Great Place to Workは20年以上の研究の成果も基に働きがいのある会社を次のように定義しています。
〇マネジメント(信用)(尊敬)(公正)勤務している会社や経営者を信頼できる。
〇仕事(誇り)自分が行っている仕事に誇りを持てる。
〇従業員・仲間(連帯感)一緒に働いている仲間と連帯感を持てる。
このように、信用・尊敬・公正・誇り・連帯感という5つの要素が「働きがい」を構成するものであると位置づけられています。
会社や経営者、管理者を信頼し、自分の仕事に誇りを持ち、一緒に働いている人たちと連帯感を持てる会社が働きがいのある会社ということです。
自己成長をうながすスパイラルをつくる源が「働きがい」と言われていて、働きがいがあれば、どんなに苦しい辛いことがあっても達成できます。
働きがいは、経営者の努力はもちろん、働いている本人の意識改革も大切です。
採用活動を企業がしている目的は色々ありますが、中小企業家同友会では、新卒採用活動の意義は、「人取り活動」ではなく「選ばれる企業づくり」だと思っています。
それは、学生からみて魅力ある企業づくり、働きやすい環境づくり、この人(採用担当者、経営者)と働きたいと思ってもらえる存在かということ。
将来、社員となる人物から見て魅力的な職場は、「人が育つ働きやすい職場」となります。
そんな魅力的な職場とは、
①対等な労使関係が形成されている
就業規則があり最新版に更新されている、社内が一つにまとまる旗印(方針、指針)がある、休暇・有給を取得できる風土がある
②キャリア形成が見える
共育の風土、仕組みがある
③職場の雰囲気が明るい、楽しそう
社員が意見を言える仕組みがある、話を聞いてくれる上司像が見える
このように採用活動は、客観的に社内を見つめ直す良い機会と考えて活動しているそうです。
自分に合う企業の見つけ方や、企業(経営者)の採用にかける想いを知れた学びの多い講義でした。中野さん、ありがとうございました。