滋賀県中小企業家同友会

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2018年度 立命館大学経済学部キャリアデザイン講義第12講 ㈱タオ 代表取締役 井内良三さんが講演!

共育・求人委員会 その他活動

滋賀県中小企業家同友会と立命館大学経済学部との協力協定に基づいて大津市、草津市とも連携してスタートした同学部2回生対象の「キャリアデザイン講義」(担当:共育・求人委員会)第12講が6月28日(木)16:20~17:50まで立命館大学びわこ・くさつキャンパスで開催され、㈱タオ 代表取締役 井内良三さん(滋賀県中小企業家同友会 湖南支部所属)より「人生嬉しい事と為になる事しかない」をテーマに概要以下の通り講義をしていただきました。

 

◆会社の事

㈱タオ(以下・タオ)は、1992年に「日本一実効ある学習システムを開発し、子どもの自己実現を支援する」という目標を掲げ、夫婦二人で設立されました。
テレビCM『天神だからできたこと!』で有名な教育ソフト、マルチメディア学習システム「天神」の企画開発と販売をしている会社です。
「天神」という名前は、北野天満宮の学問の神様、菅原道真の「天神様」が由来です。

社名の「タオ」というのは、中国語で『道』という意味です。
2500年ほど前の中国に「無為自然」な生き方が理想的だと考えていた老子という哲学者がいました。
老子のいう『道』とは、全ての存在を規定する原理であると同時に、それら全てを生み出した母なる存在でもある。
道はあまりに広大で漠然としているので定義や解釈を超えているが、人為を廃し自然であることが道に通ずるという思想に共感し「タオ」と命名されました。

 

タオでは、会社は「善の器」と考えています。
人には得意・不得意がありますが、会社は得意(長所)の結集ができる場所。
一人ひとりの得意を集め、偉大な人を超える善を成すことができる。それが「善の器」です。
会社は、幸せをつくるところです。タオでは「社員→顧客→社会」の順番で幸せを考えています。
なぜなら、顧客至上主義で社員の幸せを後回しにすると社員が疲れてしまい、続きません。社員が続かないと、かえってお客様にご迷惑をかけることになるからです。
社員の幸せが、お客様に喜びと幸せをもたらし、その過程で地域社会に喜びと幸せをもたらします。
「社員の喜び」を土台として、その上に「お客様の喜び」を作り上げて行きます。

 

このような考えから、皆の得意を発揮できる場として、委員会・クラブがあります。
例えば、朝礼委員会では朝礼バトルというコンテストに参加し準優勝しました。
親睦委員会では、長所を感じてもらうために、その人の良いところを書き出して「ありがとうカード」を作成しています。
貢献委員会では、生後6ヶ月の赤ちゃんが先生になるという「赤ちゃん先生」に力をいれています。
小学2年生のお子様に赤ちゃんと触れ合い、学んでもらう時間を毎月1回、半年間ほど地元の小学校で実施しています。
この活動は、「いのちの偉大さに気付き、自己肯定感を高め、いじめや自殺予防」を目的とした社会貢献活動です。
他にも、クイズ部・合唱部・登山部など、個々の得意を活かした活動をしています。

このように「人間尊重の経営」を実践し続けた結果、2011年度「滋賀でいちばん大切にしたい会社」に認定されました。
97パーセントの社員がこの会社で働けて幸せと回答しています。

 

◆大賞受賞

天神は、第10回日本e-Learning Awardsにて、グランプリとなる日本e-Learning大賞を受賞しました。
この賞は、新しいeラーニングの可能性を例証し、eラーニングの健全な発展、市場の確立およびコンテンツ・サービス提供企業の育成を支援することが目的で、「経済産業大臣賞」「文部科学大臣賞」「総務大臣賞」「厚生労働大臣賞」の4省の大臣賞の上、日本一の賞です。
「e-Learningシステムの有構成、実利性、教育実践のシステム性といった視点から、きわめて有用で、合理的なものである」と評価されました。
最終選考では、審査員全員一致で天神が選ばれました。

 

実は、受賞した一年前は、書類選考で落選しています。
しかし、商品に自信があったので、落選したのは広報担当と2人でお試し気分で、あれもこれも書いて応募したことが原因だと考え、精鋭チームを結成し、アプローチ方法を「実効」に絞り、再度応募した結果、グランプリを獲得できました。
全く同じ商品で応募したのに、結果が違ったのは、「どうせムリ」という気持ちで応募したことも原因です。
「どうせ・・・ムリ」と思うのか「どうせ・・・やるなら」と思うのか、それだけで結果は変わってきます。
車で例えると「どうせムリ」はサイドブレーキを踏みながらアクセルを踏んでいるのと同じ状態。
サイドブレーキをはずし「どうせやるなら」と全力で挑戦することで、可能性は広がります。

 

◆自己実現

井内さんは、大学生活を送っていたある日、バイク事故にあってしまい、後遺症を抱えてしまいます。
腰痛・足の痺れを友達に25歳で大学を卒業。卒業後は、「出社は自由」の学習百科事典の販売をする会社に就職しました。
腰痛に悩まされながらも我慢して生活していましたが、27歳のときに今後の人生を考え、9ヶ月間休職し治療に専念。「これで治らないなら諦めよう」と最後に手術をしましたが、完治できず、暗い気持ちになりました。
そんな中、入院した病院で、ある青年に出会います。
その青年は、19歳のときに事故にあったことが原因で、首から下が動かなくなり、治る見込みもないという状態にも関わらず、お見舞いに来る人をいつも笑わせていました。
彼は、全てを受け入れ、今できることを精一杯して、自分と他人の喜びを創っていたのです。
腰痛が治らず絶望感を抱えていた井内さんは、この青年と出会い、人の偉大さは「何をしたかではなく、どう生きているか」だと気付いたそうです。
そういう生き方をすることで、気が楽になり、人を尊重できるようになりました。
バイク事故は、辛いことだと思っていましたが、偉大な人と出会うことができた「嬉しい事」と「為になる事」でした。

最後に、シャンソンを熱唱していただきました。井内さんありがとうございました。