滋賀県中小企業家同友会と立命館大学経済学部との協力協定に基づいて大津市、草津市とも連携してスタートした同学部1回生対象の「キャリアデザイン講義」(担当:共育(求人)委員会)第5講が10月26日(水)16:20~17:50まで立命館大学びわこ・くさつキャンパスで開催され、滋賀県中小企業家同友会会員の㈱EGS(エグス) 代表取締役 松﨑 悦子さんより「音楽で地域文化を育て、若者を応援!」をテーマに講演していただきました。
まず、松崎さんは「色々あって今の私がある」「個人としての生き方も重要」だ、自らの生い立ちを赤裸々に語ってくださいました。
松崎さんは、野洲郡中主町(現:野洲市)出身で、一人でいるのが大好きなおとなしい女の子だったそうです。幼少期は図書館に入り浸り、本を読み漁っていたとのこと。そんな当時の夢は小説家。しかし、家が貧しかったので大学進学が出来ないことから、小説家の夢は諦め、コンピューター関連の仕事を目指すことに!コンピューターに囲まれて一人で働ける仕事に魅力を感じ、高校在学中にプログラミングを習得されます。
そして、高校卒業後にある信用金庫のシステム部に就職されますが、効率の悪いプログラムを見つけ提案しても、高卒の女子という理由だけで却下! データ入力の仕事ばかりで理想と現実のギャップにわずか9ヵ月で退職されます。
その後、私生活でも様々な出来事があり、人生の転機が訪れます。
それは、人が苦手だったにも関わらず飲食店を出す決意をされたことです。当時は暴対法の無い時代で、普通の女性が一人で店を出すのは大変危険なことだったそうです。開店準備中には激しい嫌がらせもうけますが、松﨑さんの一生懸命な姿勢が道を切り拓き、無事、大津の瀬田でジャズバー留欄(ルーラン)を開店することができました。
ルーランは、練習場所や演奏を披露する場がないミュージシャン達のために練習やライブの場を提供。さらには、楽器購入のローン保証をするなど、「飲み屋のママ」がやるレベルではない支援をしていました。この時に一人ひとり丁寧に関わってきた事で、今の人脈があり大きな財産になったとのこと。
そのうち、有名なミュージシャンも来るようになり、本物のジャズに拘った店となっていきました。そして、ミュージシャン達と関わっていくうちに、真剣に滋賀の文化事情に目を向けるようになったそうです。
そしてバーでのライブ運営を良く手伝ってくれていた若者の2人と一緒に1999年に3人の頭文字をとったEGS(エグス)ミュージックワークスを作り活動開始。仕事は店の経営で音楽は市民活動だったそうです。
今は、個人が自由にインターネットに投稿できるが、当時は簡単に楽曲を売り込むことが出来なかったため、数百万円かけて「MusicShiga」というサイトを立ち上げ、400人近いアーティストが登録。滋賀からでも簡単に音楽発信が出来るようになり、注目を浴び、新聞・メディアで取り上げられることが多くなりました。
この頃松崎さんは、世間一般ではただの「飲み屋のママ」であり、肩書きの必要性を実感したそうです。
そして、音楽文化の普及を理解してくれない行政への不満などを言っていた時に、同友会のある先輩から「ちゃんと稼いでから言いたい事を言え。いまのままでは負け犬の遠吠えや!二足のわらじを履いてたらあかん!」と言われた一言に影響され、音楽・イベントのプロデュース業一本にするため、ルーランを閉店。50歳で会社設立されます。それが㈱EGSです。
㈱EGS(エグス)に営業はありません。お客様から㈱EGSさんにお願いしたいと仕事が来ます。それは、独自のネットワークでアーティストを手配でき、お客様の要望に応じる事で、信頼関係を構築してきたたからだと言われます。
また、ミュージシャンをかっこよく見せてあげたいと “してあげたい”と思う気持ちから勉強していくうちに、気が付けばデザインも映像も作れるようになり、今では大手エンタテイメント会社から直接受注をうけるようにもなっていたそう。
最後に松崎さんは、「どんな仕事をするかは大事ではない。どんな働き方をするかが大事!!」「いろんな人生があって、いろんな仕事があると気付いてほしい」と語ってくださいました。
ありがとうございました。
滋賀県中小企業家同友会
事務局員 中村 香澄