滋賀県中小企業家同友会と立命館大学経済学部との協力協定に基づいてスタートした同学部2回生対象の「キャリアデザイン講義」(担当:共育・求人委員会)第8講が11月12日(木)16:20~17:50まで立命館大学びわこ・くさつキャンパスであり、株式会社エフアイ 代表取締役 北野裕子さん(滋賀県中小企業家同友会 湖南支部所属)より「合理主義の弊害~ムダを取り戻す経営~」をテーマにご講義をしていただきました。
1.これからの時代に求められる能力
これからの時代は専門的な知識を習得する能力ではありません。それらの能力は、AIが取って代わります。その影響で、たくさんの仕事が消えていくことに、大学生の皆さんも危機感を持っておられるのではないでしょうか。
では、どのような能力が求められるのでしょうか?著名なコンサルタントの大前研一さんは、「白昼夢を白昼夢で終わらせない発想、論理的で実行可能な構想だ」と述べています。
また、物理学者のアルバート・アインシュタインは「自分の頭で考えたり判断したりする一般的な能力を発達させることが、いつでも第一に優先されるべきです」と述べています。
今も昔も、求められるのは考える力、観察する力だと思います
現代社会は、いろいろと流れるスピードが早くなり、スマートフォンなどでさまざまな情報が入手できる、大変刺激的な世の中だと思います。だからこそ、発想力を鍛えるには、緊張と緩和が大事だとおもいます。たとえば、「1/fゆらぎ」のように、ボーっとする時間が必要で、この緊張と緩和の両方がないと発想は生まれないといわれています。
㈱エフアイでは、トップマネージメント会議を月1回やっています。会議では本音でしゃべりましょう、ベクトル合わせ、視座交換をしています。そこで大事なことは、「脱線歓迎アンチフラジャイル」ということです。会議は堅苦しいものではなくて、ちょっとした脱線があったほうがいいと考えています。不規則の中から、新しいものが生まれてきます。
2.事業紹介
会社は、父が創業しました。はじめ地方公務員をしていましたが、出身高校が近江商人を多く輩出している学校であったことから、自分でも事業をしようと、写真屋さんをはじめました。地域にネガの現像をするお店がありませんでした。10店舗ほど経営していました。
私は、学生時代の夢が「玉の輿で悠々自適な生活」でしたので、短期大学、専門学校でビジネススキルを学び、社会にでたら即戦力として働き、そのうち良い男の人をつかまえて結婚したいとおもっていました。父の会社に入り、学校で学んだことを生かして仕事をはじめました。
しかし、デジカメが普及して、写真を現像する仕事も減っていきました。売上が下がる中で、なんとかしたいと営業をはじめました。フリーペーパーや印刷の仕事も請けるようになりました。自分の給料、社員さんの給料、あるいはデザイナーさんへお支払いする金額を考えると、自分のもらえるお金の3倍は働かなくてはと、夜遅く帰り、朝早く出るという生活をしました。いまから考えると、良い経験でそのおかげで今があると思いますが、当時は大変でした。
父の会社をつぶしてはいけないと思い、一生懸命働きました。しかし、写真関係の仕事をしていては潰れてしまいますので、新しいことをはじめようと、フランチャイズの女性専用体操教室のお店を開きました。身の回りに健康問題があったということと、高齢化社会の中で健康寿命と寿命の差が13年ほどあり、筋肉トレーニングをして健康寿命を延ばすことに着目しました。
そして、筋肉トレーニングをするにあたり、体の歪みを直しておかないと効果がでないとか、ゆがんだまま筋肉がつくことになるので、整体の事業もはじめました。
3.経営理念について
理念は大事です。学生の皆さんも、理念に共感できるところへ就職したほうがいいです。本気で理念を大事にしている会社の社長やスタッフがいる会社です。理念に共感できて入った会社では、どんなことがあても続けていけると思います。