滋賀県中小企業家同友会

委員会活動について-共育委員会-

2019年度 立命館大学経済学部キャリアデザイン講義第10講認定NPO法人四つ葉のクローバー 遠城孝幸さんがご講演!

共育・求人委員会 その他活動

滋賀県中小企業家同友会と立命館大学経済学部との協力協定に基づいてスタートした同学部2回生対象の「キャリアデザイン講義」(担当:共育・求人委員会)第10講が11月28日(木)16:20~17:50まで立命館大学びわこ・くさつキャンパスであり、認定NPO法人四つ葉のクローバー代表補佐 遠城孝幸さん(滋賀県中小企業家同友会 大津支部所属)より「社会的企業とは~その意義と実践を通して~」をテーマにご講義をしていただきました。

1.社会的企業とは?
近頃、「社会的企業」に参加する若者が増えています。社会的企業とは、簡単にいえば経済活動と社会貢献とをあわせた事業です。営利を目的とせず、事業活動を通じて社会的課題を解決することを目指しています。
よく、「ボランティアや慈善事業とどうちがうの?」と聞かれます。ソーシャル・ビジネスでは、たとえば依頼をうけて事業を受託することもありますし、自社事業として、収益を出す団体もあります。お給料ももらえますし、もうけを出してもかまいません。
寄付する人にとっても、税額控除を受けられたりするなどのメリットがあり、寄付をしやすい、寄付文化が根付くということがあります。

2.遠城さんの歩み
遠城さんは、大学卒業後1年間、児童相談所一時保護所に勤務され、その後19年間、情緒障害児短期治療施設(現、児童心理治療施設)で、児童指導員として勤務されます。2017年から認定NPO法人四つ葉のクローバーで社会的養護施設・里親から巣立った若者の支援に従事されています。


3.社会的養護とは?
「社会的養護」とは、「さまざまな事情を抱えて家庭で養育されることが不適切だと判断された子どもたちを、福祉施設や里親のもとで養護すること」です。「家庭で養育されることが不適切」な場合とは、DV(家庭内暴力)、貧困、シングルマザー・シングルファザー、養育者が病気である、親との死別などが該当します。特に多いのがDVで、身体への暴力のほか、言葉での暴力(「生まれてこなかったら良かったのに」、「死んでしまえ」など)、性的暴力があります。特に増加傾向にある暴力が「ネグレクト」で、親が子どもの養育をしない、あるいは子どもに関心がない家庭が増えています。
講義では、子ども虐待防止運動である「オレンジリボン運動」の一環で作成された子どもの虐待の事例として、親からの身体的・精神的暴力と、ネグレクトをテーマにしたビデオをもとに、どのような行為が「虐待」にあたるのか説明していただきました。

福祉施設や里親のもとで養育される子どもは、18歳から20歳になると、その年齢になったというだけで、福祉の支援から外されて、自立しなければなりません。遠城さんは、年齢がきたからという理由で養護から外れてしまったが、社会的に自立するためにはなお支援が必要な子どもたちの支援をしておられます。たとえば、子どもたちがシェアハウスで生活しながら貯蓄をし、経済的に自立をして独り立ちをしていくことを目指しています。

具体的に言うと、①生活を共にして関係性を育む、②自立の準備、生きていくスキルを身につけるためのお手伝いをする(生活支援)、③就労定着のためのサポート、応援企業の開拓(就労支援)、④その他のアフターケア(居場所、ピアサポート、研修、施設や里親さんとの共働)、虐待防止啓発活動など、です。

4.なぜ社会的企業へ若者が参加するのか?
社会問題はたくさんあります。しかし、公的機関だけで補えないのが現状です。そのような、制度と制度とのすき間を補い合えるような役割をしているのが、社会的企業です。今では、多くの若者が社会的企業に参加しています。国内外を問わず、学生のときから社会問題に取り組み、40歳くらいまでがんばっている方もおられれば、地域で社会に出ることのできない子を自宅に招いて支援されている方もおられます。ではなぜ、若者がそのような活動に参加するのでしょうか。
遠城さんは、若者が生きている社会情勢の変化から説明されます。
まず、未来はどうなっているでしょうか。想定される未来として、①子どもたちの65パーセントは、現在存在していない職業に就くといわれています、②10~20年で47パーセントの仕事が自動化(オートメーション化)されるといわれています、③2030年までには、一週間15時間働くだけでよい社会になるといわれています。
また、日本における人口の減少も進みます。世界をみれば、人口はどんどん増えていますが、他方で、日本では人口が減っています。2040年までに消滅する自治体は、896自治体(現:1741自治体)といわれています。その反面、寿命は延びるなかで80・50問題(90・50問題)といわれるように、介護が必要な人と介護をする人の年齢が高くなりますし、ひきこもりの人を高年齢の親が支えるということもおきています。
これらは、いままで日本が経験したことのないほどの人口減少が近い将来に起こるということで、答えのわからない時代を迎えようとしています。
そういう時代だからこそ、必要とされるのは、不安を不安で終わらせるのではなく、ポジティブな方向へ変えていくことです。
そもそも、人は何で生きているのでしょうか。多くの人は、「幸せになるため」と答えます。ハーバード大学の調査では、人が幸せを感じる要因として、もっとも大きい要因は、「遺伝」であることが明らかになりました。つまり、同じ事態に遭遇しても、生まれつきポジティブに捉える人と、生まれつきネガティブに捉える人とがいることになります。「遺伝」についで大きい要因は、「好きなことができている」、「人と人との繋がり」です。お金は実は10パーセントくらいでしかありません。
これらを踏まえると、幸せに生きることは、生きている中で自分が好きなことができているかどうか、ということと、人との繋がりがあるかどうか、を考えて幸せを積み上げていく