滋賀県中小企業家同友会と立命館大学経済学部との協力協定に基づいてスタートした同学部2回生対象の「キャリアデザイン講義」(担当:共育・求人委員会)第2講が10月20日(木)16:20~17:50まで立命館大学で開催され、株式会社木元産業 代表取締役の木元 博信さんよりご講義をいただきました。約130名の学生さんが出席されました。
昨年に続き2度目となるご講義、『人を生かすダイバーシティ経営とは〜人が育つ=企業が育つ〜』をテーマにお話し頂きました。
【会社紹介】
高校を卒業後、お父様が経営される木元産業に入社した木元さん、トラックドライバーとり業職を経験して38歳で社長職となりました。木元産業㈱は運送業と倉庫業と製造業の3つの事業を行っており、社員数は36名でかなり仲の良い社風です。
【フィリピン人社員の話】
木元産業で働いている28歳のフィリピン人男性は、元は日本語が話せなかった。以前いた職場でも、あまりいい扱いを受けておらず、日本に対していい印象を持ち合わせていませんでした。知人の紹介で木元産業に入社し、コンベアの製造部門の立ち上げ仕事を任せました。その社員は、飲み込みも早く、技術も日本語も目を見張る速度で成長していきました。やがて正社員となり、日本でフィリピン人女性と結婚をしました。その社員が新たな知人や家族を紹介してくれて、フィリピン人の社員が2名も入社してくれることとなりました。今では木元産業㈱に欠かせない社員になってくれたと木元さんは語ります。
【なぜ障がい者雇用が必要なのか】
木元産業㈱には現在8名の障がい者が働いています。聴覚障がいの社員が1名、知的障がい者が4名、精神障がい者が2名、国の難病指定の社員が1名です。2021年には滋賀県より「障害者雇用優良事業所」として知事表彰を受け、県が発行している事業主向け障害者雇用促進リーフレットに、事例紹介として木元産業㈱の取り組みが掲載されました。
現在の日本では少子高齢化が深刻な問題となっていますが、減少する人口に反して、増加しているのが障がい者の人口です。現在の日本では全人口の8%が何らかの障がいを持っている計算になります。福祉にも限界があるなかで、中小企業にできることは誰もが働きやすい環境づくり、適材適所の人員配置・配慮、様々なハンディキャップを抱えた人材の雇用の推進です。
【障がい者雇用をすることで会社がどう変化したのか】
木元産業㈱では、障がい者雇用にあたり、以下の取り組みを実施しました。
・丁寧懇切に分かるまで、出来るまでの指導。
・相手の立場になって考えることの徹底(管理者)。
・目的意識を持った仕事への取組みの意識。
・安全教育・安全配慮。(誰もが安心して働く職場には何が必要かを考える場を持つ)
これらの取り組みから、まずは社員の離職率が低下しました。また、社員の離職率が低下したことで、社員の総合的なスキルが高まり、結果として売上が向上しました。また、社員の指導力が向上したことで、社員の紹介で社員が増えるという好循環が出来上がり、人材不足も解消されていきました。
木元さんは、最後に障がい者雇用について、「ハンディキャップを乗り越えた社員は、同じ悩みを持つ後輩社員の良き指導者になることができます。障がい者雇用に向けた会社づくりは、社長だけでも、社員だけでもダメなのです。全員が日常的な取り組みを続けることで初めて実を結びます。」とまとめられました。