滋賀県中小企業家同友会

委員会活動について-共育委員会-

立命館大学経済学部「キャリアデザイン講座」第4講で、中野裕介さん(㈱ジョーニシ代表取締役社長)がご講演しました

共育・求人委員会 委員会レポート


滋賀県中小企業家同友会と立命館大学経済学部との協力協定に基づいてスタートした同学部2回生対象の「キャリアデザイン講義」
(担当:共育・求人委員会)第4講が10月19日(木)16:20~17:50にて開催され、ジョーニシ(株)(甲賀市水口)代表取締役社長の中野裕介さん
が講義をしました。

まず、中小企業家同友会の理念(3つの目的)と中小企業の社会的位置づけや役割について解説。
企業の約99%は中小企業であること、労働者のうち70%は中小企業で働いていることを説明いただきました。
つづいて、産業構造の急激な変化や、人口構造の変化で地域経済が変化してきていることに触れ、中野さんが
出張で関東に行かれた際に出会った地元経営者とのエピソードを紹介されました。
中野さんが山形県の社員50名、売上10億円くらいの経営者と話をされたときのこと。平均年齢が40歳くらいの会社でしたが、
課題はやはり入社してくれる人がいないということ。もう一つは、会社の社員さんが何を望んでいるのかを聞いてみると、
「安定」だった、ということでした。その経営者は新しい事業を起こそうと必死に取り組んでおられ、そしてそれが会社
ひいては社員のためになると思っていたところ、社員さんは安定を第一に働いていたことを知り驚いたとのことです。
地元で働き、そこで暮らしていける仕事と収入があればいい社員。しかし、社長はベンチャー企業家のような姿勢で成長、
売上、儲け、と言い続けていたと。そこで反省をして、そういう社員さんたちが会社で働き続けられる環境づくりへ力点を
置くようになったとのことでした。
つづいて、栃木の社員70名、売上15億ほどの製造業の会社の経営者とお会いになりお話をおききすると、こちらはもっとより
良いものを、新しいものを開発し、全国展開できるような商品開発を頑張っておられました。山形と違う点は、栃木はまだ大学
があり、若者が地域にいる、ということ、そして関東に近い、という地の利ではないか。日本社会は少子高齢化が進行していて、
どんどん就労可能人口が減っていくのですが、地域によって、その現象の現れ方が違い、栃木のような若者が存在する地域における
企業と、山形のような若者があまりいない地域の企業では考え方が異なってくることを実感されたとのことです。

滋賀県では湖南地域では人口は微増の傾向にあり、また、大手企業の工場が多く立地しており、働く場所がたくさんありますが、
地域が元気になるのは、やはり地域に所在している中小企業がいかに元気になるかということが影響しています。地域のイベントや
お祭りを支えているのは、地域住民だけではなく、地域の中小企業も大きく貢献しています。そして、地域を良くしたいと思う人たちが
いて、地域が支えられているように、会社も会社を良くしたい、仕事を通じて成長したいという人たちがいて良くなっていくもので、
若い人たちが会社や地域に積極的に関わっていくことで、地域社会が変わっていくのだと力説されました。

最後に、コロナ禍を経験して、社会に閉鎖的な雰囲気になり、話を聞きに行くとか外に出るようなことが減ってきたと述懐。若いうちにいろんな人と出会い、
いろんな所へでかけ、視野を広くしていき、考え化をもっとオープンにしていくことがとても大事なので、大学やたとえば外国などへ出かけ、いろいろな経験を
積んでください、と若者へのアドバイスを送りました。