滋賀県中小企業家同友会

委員会活動について-共育委員会-

11月24日 立命館大学経済学部「キャリアデザイン」講義第8講で井之口哲也さん(栗東総合産業㈱常務取締役)が講義をいたしました。

共育・求人委員会 委員会レポート

滋賀県中小企業家同友会と立命館大学経済学部との協力協定に基づいてスタートした同学部2回生対象の「キャリアデザイン講義」(担当:共育・求人委員会)第7講が11月24日(木)16:20~17:50までZoomミーティングルームで開催され、栗東総合産業株式会社 常務取締役の 井之口哲也さん(湖南支部)よりご講義をいただきました。約60名の学生さんが出席されました。

テーマは「中小企業の海外展開事例」。
栗東総合産業㈱は栗東市十里に本社を構える一般廃棄物処理会社です。ベースとなる事業は廃棄物処理業ですが、そのほかに水処理をはじめ中古釣り具店、厩舎、一般貨物運送、かつ丼店のフランチャイズなどなど、多種多様な事業をされておられます。会社は井之口哲也さんの祖父が設立されました。
栗東総合産業㈱がベトナムへ1回目の海外展開をしたのが、井之口さんが大学生のころ。井之口さんはベトナムへ赴くことを避けておられたそうですが、弟さんが先にベトナムへ行かれていたことから、兄としていかないわけにはいかず、大学を休学して1年間ベトナムへ滞在されることになりました。その当時は、まだ日本企業の進出やインターネットが普及していなかったそうです。
会社が海外展開に挑戦したのは、一般廃棄物処理業が受託事業であり、時代の変化で受託をもらえなくなる恐れがあったからです。おりしも、その当時はベトナムへの投資ブームの最中でした。ビジネスチャンスを求めて日本からも多くの会社やリーダーがベトナムへ事業を展開していました。井之口さんの会社もベトナムに現地拠点を作り、建設機械の取引などをされていました。井之口さんがベトナム滞在を終えて日本に戻ってきたころから、ベトナムブームにも陰りが見えてきました。市場における日本製機械の優位が、他国に奪われてきたのです。また、現地拠点のマネジメントが徹底されていなかったこともあり、一旦、撤退することになりました。
その後、井之口さんは他社に就職しましたが、数年して栗東総合産業㈱に入社されます。
新しい事業を探していろいろなセミナーや研修に参加しているうちに、ベンチャー企業の方と出会われ、ともに中国でガソリン関連の商品を販売する事業を手掛けるようになりました。新しいアイデアの商品で、取り組んで数年は売り上げがありましたが、中国の排気ガスの規制により一挙に売り上げがなくなってしまいました。
そこでどうしようかと悩んでおられるときに、ミャンマーでの水処理事業に参加する機会があり、取り組むことになりました。
それらの経験を活かして、現在はベトナムに釣り具販売店を出店し、そこで人材を育てて、日本に送るという取り組みをされておられます。

さて、中小企業が海外展開するという場合に、その動機とは何でしょうか?
井之口さんはそれを①生産拠点を作るため、②海外市場を獲得するため、とおっしゃいます。①については、日本が高度成長を果たした結果、国内生産の製造コストが高くなり、海外で生産する需要が高くなりました。そのとき、先行して海外展開をしたのは大企業でしたが、それに随伴するかたちで中小企業も海外で展開することになりました。それは国内需要を狙った動きでしたが、海外展開の幅が広がると、今度は海外市場に向けてビジネスを展開するようになりました。その背景には、日本国内需要の減退があります。他方で、東アジア諸国の大きな経済発展がありました。今や、中国やベトナムなどの都市部では、日本の繁華街と変わらない発展を遂げています。
井之口さんがベトナムで滞在される時間が長いベトナムのホーチミン市では、日本企業の進出が多く、日本の大手コンビニエンスストアやDIYショップが乱立し、暮らしぶりは日本で暮らしているのと変わらないそうです。
講義では、実際にベトナムで勤務されている社員さんもZoomに参加していただき、ベトナムで暮らしている感想をお話しいただきました。
大学で学問を修め、日本のみならず世界で活躍しようとしている学生の皆さんには夢が広がるお話だったのではないでしょうか。
井之口さんありがとうございました。