滋賀県中小企業家同友会

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12月3日 立命館大学経済学部「キャリアデザイン」講義第10講で石川朋之さん(株式会社Honki代表取締役)が講義をされました。

共育・求人委員会 委員会レポート

滋賀県中小企業家同友会と立命館大学経済学部との協力協定に基づいてスタートした同学部2回生対象の「キャリアデザイン講義」(担当:共育・求人委員会)第10講が12月10日(木)16:20~17:50までZoomミーティングルームで開講され、株式会社Honki 代表取締役の石川朋之さん(大津支部会員)よりご講義をいただきました。約60名の学生さんが出席されました。

石川さんが代表取締役を務める株式会社Honkiは、大津市浜大津に所在し、日本国内では採用コンサルティング・企業研修・人事制度設計・生産性向上(TOC)・文教支援をされています。また、海外ではアラブ首長国連邦への飲食事業展開、ジャパンブランドの輸出を、ベトナムではオフショア開発を手掛けておられます。

石川さんは、現在は株式会社Honkiの社長をされていますが、その前はオートバイレーサーとしてご活躍されていました。
オートバイレーサーを志したのは16歳のとき、漫画「バリバリ伝説」を読んで感銘を受け、夢を抱いて自分が好きなことをやりたいと志を抱いたことがきっかけです。
親御さんや学校の先生など、周りの人はほとんど反対でしたが、それを押し切ってレースの世界に飛び込みました。
1998年、高校を卒業してすぐに単身、お金を握りしめて鈴鹿サーキットで開催された鈴鹿選手権レースに出場、オートバイレーサーとしてデビュー。
2000年には鈴鹿サーキットコース・レコードを樹立。優れた成績を出して一躍、世間の注目を集めるようになります。
2002年にはプロ・レーサーとして全国のレースに参戦、2009年までご活躍されました。

そんな夢を追う毎日を駆け抜けていた石川さん。経営者になろうとは夢にも思っておられませんでしたが、ある出来事をきっかけに、経営者として夢を追うことになります。
プロレーサーを支えるスポンサーの中に、大学の先生がおられました。その方から「学校で話をしてくれませんか?」とのご依頼があり、石川さんは大学のゼミで講演を
されることになりました。大学で講演をされるうちに、学生からお手紙をもらうことが多くなってきました。その頃は2008年から2009年、おりしもリーマン・ショックの時代です。
有名大学でも就職率が80%程度にまで落ち込み、学生にとっては大変な時代でした。自分のしたいこともなかなかできないし、行きたい会社にもなかなか就職できない。
「どうしたらいいでしょうか?」「石川さんみたいに好きなことをやりたい」というお手紙がたくさんもらいました。
その中に、一通のお手紙がありました。京都の国立大学の女性の方ですが、すでに大手企業に就職がきまっていましたが、「石川さんのように好きなことを追求したい」と別の道を
歩まれる決断をされたそうです。

そこで、石川さんは「自分の話を聞いてそう思ってくれていいことだな」と思ったと同時に、「彼女の人生を変えてしまった」という後悔がありました。また、若者が自分が好きなことを追求できない社会にも疑問を感じていました。
日本の若い人たちが元気にならないと、日本が沈没するのではないか、と強く感じられたそうです。
レーサーは、景気がどうあろうと、結果を出すレーサーは確実に実績を積み上げていきます。与えられた環境の中でどうベストを尽くすか、しか考えていません。しかし、まわりの環境が悪いから仕方がない、と思わせるような社会環境も変えていかなければならい、若者を元気にしたいと思ったことが起業のきっかけです。
その当時の石川さんのレーサーとしての実績も、かなりのところまで来ていて名前も通っていましたので、そこでレーサーを辞める、といったときに、まわりの皆さんは、全員反対。
高校を卒業してレーサーになるときも、母親以外は全員反対。レーサーを辞めて起業しようとしたときも、親御さんを除いて全員反対。それでも、石川さんは経営者しての道を選びました。

「周りの反対を押し切って会社を立ち上げて10年たちました。その当時、反対していた人はいまなんと言うでしょうか?
『石川さんやったら絶対できるって思ってた』と絶対に言います。思えば、レーサーになった時も、後から『石川さんやったら絶対できると思ってた』
と言われました。
大事なことは結果です。今現在をみていると、まわりからいろいろなことを言われ芯がぶれるかもしれません。
しかし、自分の信念を強く持ってその道を貫いていったら、まわりから言われることは間違いなく変わってきます。
人生は、自分の考えで大きく変わるということをずっとやってきました」

石川さんの人生を振り返って、学生の皆さんに伝えたいことは、「やりたいことをやってください」ということです。
いま、やりたいことがない方もおられると思います。そうであれば、やりたいことをやっている人のそばにいてください。
やりたいことをやっている人の周りには、やりたいことをやっている人ばかりが集まってきます。そのうち、自分がやりたいことが見つかるかもしれませんし、
あるいは一緒に組みたい人が見つかるかもしれません。
人生を生き抜くうえで大事なことは、誰と組むか、誰をパートナーとしてやっていくか、ということです。
それがすなわち、「人生を選択する」ことになります。

お話し後の質疑応答では、学生からは「もしこれまでしてこられたことが失敗したしたら、どんなことをしていましたか?」、「会社経営をはじめてから、躓いたときにどのように心を保っておられましたか?」、「一緒に仕事をしたい人と信頼関係を気づくはどうすればよいですか?」などなど、多くの質問があり、活発な講義となりました。
石川さんありがとうございました。