滋賀県中小企業家同友会

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12月17日立命館大学経済学部「キャリアデザイン」講義第12講で水野透さん(渡辺工業㈱代表取締役社長)が講義をされました。

共育・求人委員会 委員会レポート

滋賀県中小企業家同友会と立命館大学経済学部との協力協定に基づいてスタートした同学部2回生対象の「キャリアデザイン講義」(担当:共育・求人委員会)第12講が12月17日(木)16:20~17:50までZoomミーティングルームで開講され、渡辺工業㈱ 代表取締役社長の水野透さん(代表理事)よりご講義をいただきました。約60名の学生さんが出席されました。

水野さんは長浜市のご出身。京都の私立大学を卒業後、大手ホテルのホテルマンになりましたが、ご実家からの要請で、地元に戻られ、渡辺工業㈱に入社されます。一般社員から営業部長、取締役とご出世なさいますが、その過程で、いろいろ苦労されたこともありました。
会社には上部団体にも加入している労働組合があり、水野さんも組合に入っておられましたが、昇進するうちに、共に労働環境の改善を訴えていた仲間の人たちと、会社役員として交渉にのぞむことになりました。おりしも、会社の経営状況が芳しくなく、組合からの要求にはとても答えられないなかで水野さんは話し合いの努力をされます。会社の経営状況の説明も、脚色をして組合に説明をしなければなりませんでした。
その経験から水野さんは、おっしゃいます。
「正直、同じ会社で一緒に苦労している社員と駆け引きよいうようなことをしなくちゃいけないのは、本当に悲しいと思いました。そういう状況を脱しようと思い、やはりしっかり黒字が出せる会社をつくっていかないといけななと。それが経営者になってからの原点です。お客さんとは商売なので、正直なところいろいろ駆け引きはありますが、同じ会社の社員との駆け引きだけは絶対にしない。一緒に苦労する仲間ですから。それが私の経営者としての原点で、ずっとそれをやっています。」
その後、水野さんは社長になられますが、その間、心がけたことは労働組合との関係修復でした。同じ会社の経営者と社員がもめていて、よい会社になるわけがありません。そこで、中小企業家同友会で「経営理念」とそれに基づく経営計画を合わせた「経営指針書」を作成し、渡辺工業がどういう会社になっていこうとしているのか、指針をまとめて社員に説明をすることを始められました。
そこには、モノづくりのプロ集団としての誇りを大事にしよう、社員みんなが目標をちゃんと共有できて働き甲斐のある会社を目指そう、働いてよかったと思えるよな会社になりたい。また、技術を磨いて改善で会社を変えていかなけれあなりません、そして、地域の皆様から支持される会社になる、特に若者の皆さんが就職されるときに選ばれる会社になりたい、製造業なので環境に負荷をかけますので、滋賀県の誇りである美しい琵琶湖を護っていくために配慮をしていこう、ということが文章でまとめられています。
 水野さんが経営者として自社を「よい会社」にしていく指標に、「自己資本比率」があります。水野さんは、社長になられた当時やリーマン・ショックのご経験から、自己資本比率を高めていく重要さを実感されておられます。中小企業ではおおよそ30%の自己資本比率が望ましいといわれますが、残念ながら現状では、多くの会社がその比率まで達していません。水野さんは、自己資本比率を高めていく経営をされ、いまでは30%を大きく超える比率にしておられます。
最後に、立命館大学の学生に向けて、中小企業で働くことの意義を語られました。
「日本には多くの中小企業がありますが、なにも大手企業でもできる仕事をただ安いからという理由で中小企業が担っているわけではありません。中小企業しかできない仕事はたくさんあります。皆さんが就職を考えられる中で、給料などの待遇は大企業とは見劣りしますが、大きなスパンでみると、中小企業も捨てたものではありません。大企業に入ると、自分がした仕事の成果はなかなか見ることができないですが、中小企業であれば、自分の頑張りが目に見えてわかります。大企業ですと仕事が大きな歯車の一つのように感じますが、中小ですと仕事を覚えていけば働き甲斐が出てくると思います。」

水野さんありがとうございました。