滋賀県中小企業家同友会

支部活動について-大津支部-

弱みを強みに変えるダイバーシティー経営~大津支部・ユニバーサル委員会合同例会~

大津支部 例会レポート

日 時:9月26日(金)18:00~20:50(受付17:30~)
会 場:キラリエ草津502会議室
報告者:川田 俊介 氏 (有)川田製作所 代表取締役社長、神奈川同友会所属
テーマ:会社が良くなる社長の仕事~人を生かす経営で会社が動く!~
参加者:46名


川田製作所は昭和44年創業。神奈川県小田原市にて金属プレス加工・金型製作を行い、自動車やPC、ディスプレイ、製造機械など多岐にわたる部品を製造しています。「つくり手の想いを咲かせ、彩りあふれる未来を創造します」を理念に掲げ、地域に根ざしたものづくりを続けておられます。

川田氏は大学卒業後、大手メーカーでSEとして勤務したのち、40歳で父の後継者候補として入社。9年後に代表取締役に就任し、経営指針作成部会を受講されました。「良い雇用の場をつくることが中小企業の使命」との想いから指針経営を開始。当時、障がい者雇用を行っていたものの、年齢層の偏りを課題として感じていたそうです。そこで、社内環境整備、人材育成、インターンシップ受入れ、障がい者施設との交流など、社員とともに風土づくりに取り組まれました。
障がい者雇用への取り組みの原点は、先代が50年前に就労支援施設の職員から訪問の上、「雇用してもらえませんか」と相談を受けたこと。そこから多様な人との関わりが始まりました。不良部品数の記入に苦戦していたSさんには数取器を導入し、数える手間をなくして業務をスムーズに。また、朝礼で発表を任せることで自信を高めました。Sさんは電話対応が苦手でしたが、ナンバーディスプレイを導入し、顧客登録を行うことで安心して対応できるように。曖昧な指示が苦手な特性を活かし、業務をカレンダーに可視化することで、今では“スーパー総務”として活躍されています。


外国人雇用にも積極的に取り組み、日本人にはないエネルギーや集中力に魅力を感じたといいます。日本人男性技術者が3年かけて習得した業務を、外国人女性が3か月で覚えた例もありました。こうした工夫や柔軟な対応は、障がい・国籍・性別に関係なく、誰もが働きやすい環境づくりにつながっています。
また、日報アプリを自社開発し、個人の生産性を見える化。過去の自分との比較で成果を実感できる“絶対評価”の仕組みを構築しました。コロナ禍では全社員にiPad・PCを配布し、自身の仕事をマニュアル化。結果として、目標達成率は60%から80%へと向上しました。今では障がい者や外国人の若者が社員の半数を占め、多様な人材が共に働く職場が実現しています。
川田氏は最後に「多様な人が働くことで“違い”が生まれる。その摩擦を乗り越え、互いを尊重し協働する風土が生まれる。個性や特徴を引き出す環境を整えることこそ、ダイバーシティ経営の本質であり、新しい価値を創る力になる」とまとめられました。一人ひとりの“違い”を力に変える経営の実践に、参加者一同深く感銘を受けました。(記 田中和樹)