日時:2018年7月25日(水) 18時30分 開会 21時分閉会
会場:明日都浜大津 大会議室
報告者: 松崎 悦子氏 ㈱EGS 代表取締役 2018年度滋賀県中小企業家同友会 大津支部 副支部長
テーマ:「夢だけで経営は成り立つのか」
~音楽バカ社長と、オタク社員が作り上げて来た新しい会社の形~
司 会: 明治 由紀子 ヒール・ガーデン
参加者:78名
中小企業家同友会歴20年
社員数2名
事業内容紹介
・イベント企画運営業
音楽関係のネットワーク力を活かして年間50~100件のイベントをプロデュースされています。代表的なものとしては、プロバスケットボールチーム「滋賀レイクスターズ」ホームゲームの音響照明や1万規模のイベント(浜大津サマーフェスタ等)、小さなホールのコンサート、人権啓発イベントの企画運営など、幅広く展開されています。
・映像デザイン コンテンツ制作事業
3DCGを得意としておられます。滋賀レイクスターズのオープニング映像を作成して流しだしたことにより、他からも映像の依頼も来るようになられました。
また、ボーカロイドの映像制作等、オリックスの選手紹介映像も制作しておられます。
自己紹介と起業の経緯
松崎さんは、森永ヒ素ミルク中毒認定患者として不安と恐怖で押しつぶされそうになりながら、中学生時代は琵琶湖で歌うことで乗り越えてこられました。高校時代は、コンピュータープログラミングに没頭され、高校卒業後、信用金庫のプログラミング部門に就職されます。信用金庫では、プログラミングの中の効率の悪さを見つけ、上司に進言されましたが認められず、9ヵ月で退職されます。その後、別のプログラミングの会社に転職。プログラマーとして黙々と働き、充実した毎日でしたが、会社で倒れ、1か月入院されました。その後復職がかなわず、ひきこもり状態に。会社に就職することが怖くなり、起業を考えられます。コンピューター関連で起業するには資金がないため、別の方法を考えたところ「お店」を出すことにされました。そのお店は、メンバーカードがないと開かないドアを付けた会員制のバーでした。「素人の女性が経営している健全なお店」という評判になり、お客様がたくさん来られるようになります。
その後お店をいろいろやり替えながら、本物のジャズにこだわった店を出されます。
京都で演奏した有名ジャズマンがその後飲みに来るということになり、そんな人に会いたい人がさらにお店に来るようになられました。
そんな時に再度倒れ、8か月間入院されます。この時に、発作を抑える方法としても、音楽の重要性を再度認識され、「音楽のためなら何でもできる」という境地になられます。
退院後、お店をやりながら、音楽活動のサポートをすることに力を入れられます。
そんな時に同友会に誘われ、入会されます。
同友会の方から、「二足の草鞋を履いていてもダメ」と言われ、音楽活動のサポートに専念するために50歳で会社を作られます。
それが株式会社EGSで、頑張っているミュージシャンやアーティストを応援するというのが使命の会社です。
例えば、出演者をかっこよく紹介してあげたいから、「チラシ」「ポスター」の製作をはじめたり、映像でもかっこよく紹介してあげたいというところから映像制作に取り組んだりと、出演者へのサポートが基本にあります。
社員の才能と努力を認めて、期待し、応援し続けるスタイルで続けてこられています。
社員もアーティストさんと同じように、普通の人は理解できないところがあり、自分のやりたいことを追求されています。出来上がったものは、いいのか悪いのか普通の人ではわからないそうです。でも追求し続けるところから、素晴らしいものが生まれるそうです。
社員との間には8つの約束(真摯さ・素直・約束厳守・正直・嘘をつかない・スピード等)
があり、それ以外は自由主義で管理しない組織です。
行動規範のみ存在し、日々の行動や判断は、自分たちで考えて行動されます。
社員=クリエーターで、仕事は創作活動です。
管理しない組織で、「時間で拘束しない」、「会議をしない」、「命令をしない」で、社員は自由ですが、当然責任も発生し、納期は必ず守られます。
松崎さんは、社員が会社の中で才能を磨かれ、会社を踏み台にして羽ばたいていってもらえればいいと思っておられましたが、今回の報告に際して、社員に皆さんの考えを聞かれたところ、会社を継続していくことを望んでいることがわかり感激されていました。
松崎さんの夢をわかるように書き出して、社員と夢を共有することにより、目指したいことがはっきりされたようです。
松崎さんと社員に皆さんが一緒になり、クリエーターさんやアーティストさんがのびのびと創作活動や音楽活動に取り組める環境を提供し続けておられる株式会社EGSを、さらに伸ばしていってほしいと思います。
グループ討論は、「あなたの事業をはじめた理由はなんですか。」というテーマで、活発な意見交換が行われていました。
座長は社会保険労務士坂本事務所の坂本さんで、労務士の観点から労働環境に対して疑いの目で話を聞きだしたが、クリエイト集団の労働管理の形として成り立っていることに感激されたことをお話しされていました。
記録 山脇 秀錬 オーパルオプテックス(株) 代表取締役