大津支部7月例会「売らない」から売れる!
~タオルという一般的な商材でのブランド作り~
場所:びわ湖大津館 桃山
日程:7月20日㈬ 参加人数:約40名
報告者:寺田 元氏 株式会社京都工芸 代表取締役
【プレ例会】
大津支部7月西・東合同地区例会が、7月20日㈬ 18時30分~びわ湖大都館桃山にて40名の参加者の中、冒頭にはゲスト会員さんの紹介、サークルワークス松井氏製作による直近新会員さん3名の会社紹介ビデオが流れるという新たな試みも行われました。
【例会内容】
先代のギフトショップ、インターネットを中心としたタオル販売へのシフト転換、パニック障害とうつ病の克服、本の出版、日の丸タオルへの想いなど、人との関係作りの大切さ、学びや気付きについて報告(講演?)して頂きました。
先代のギフトショップで当時、寺田さんの主な仕事は特定郵便局を中心としたノベルティギフトの会社への得意先訪問でした。ある時、数分前まで自分がいた得意先の特定郵便局に強盗が入ります。「ああ、命があってよかった」と、その現場に居合わせなかった事にホッとされますが、時間がたつにつれ自分の事しか考えられなかった自分を悔い、逆に何か出来ることはないか自問自答され、考え付いたのが「特別警戒」の腕章をつけて得意先を回ることでした。自分に出来ることは何か?お客様や取引先の安心や安全の事を真剣に考え、気持ちを伝える!という一心で始めた行動が信頼と信用を得て取引先が激増していきます。自分の得意先へサランラップを1本88円で売りにくる他業者ではなく、120円の高値で売るサランラップを選らんで頂けた事で、自社のお役立ちと価値に気づかれます。
ところが、2004年4月、小泉政権が発足し郵便局が民営化されます。会社の売り上げの95%が特定郵便局だったので一気に売り上げが1/3に激減し、もろに郵政民営化の煽りを受けます。従業員さんとその家族は?なんとかしてあげないかん!でもどうしていいのかわからない!先々の不安を考えると、追い詰められて遂にはうつ病患者になってしまいます。
違うビジネスを考えないといけない、藁にもすがる思いで精神安定剤を飲みながら参加したE-ビジネス道場という勉強会で学んだ、
①これからの時代は勇気を持って情報発信ですよ、②ターゲットを絞りなさい!
というコンサルの先生の教え、また、買い物をしている女性がタオルを買っているのを見て「タオルはもらうもの、配る物」という持論と概念が覆され、絶対やめとけという周りからの反対を押し切ってインターネットを中心にしたタオル販売会社、「タオルはまかせたろう.com」を設立されます。
タオルのサイトを立ち上げ、サイトを見に来てくれる人はたくさんいるのに全然買ってくれない!ある時、「私に似合うタオルは何ですか?」とのメールが届きます。綺麗なギフトカタログの説明はできるのにタオルの説明ができない自分に恥じ、すぐさまタオルの聖地今治へ勉強に出向かれます。そこでタオルが作られていく工程と生産者さんに触れ、今まで自分がタオルを売ることしか考えていなかったという間違いに気づき、生産者さんと衰退していくタオル産業を救いたいという考えに代わっていきます。自社で扱っているタオルの良さ、生産者さんの思い、タオルの扱い方などをサイトから発信しだしたとたんタオルが売れ出します。インターネットの本質、無料で情報を得たいという消費者のニーズに気づき、タオルの事はこのサイトにきたら何でもわかる!売るのではなく情報を発信していくという心がけから売り上げがまたまた激増していきます。
寺田さんが本を出版されるに至った経緯は、経営者ブログを10年間365日書き続けたことで日本実業者出版の方の目に留まったことでした。「新規性、社会性、話題性をシナジーさせる」本の売り方に苦慮されますが、本を大切に扱ってくれる本屋さんへの感謝の気持ちを伝えること(本が詰められている段ボールの一番上に手紙とハンカチを添えて)で、本屋さんが特設コーナーや平積みの期間を長くしてくれて5500冊の本を売ることができました。
WBC(野球の国際大会)で、ベンチの選手が日の丸のタオルを使っていないことに違和感を持ち、アスリートとサポーターもタオルでつなげられるはず!と日の丸タオルを作られましたが、右派左派の方々から大パッシング!「日の丸で汗を拭くのか!」と、会社まで来てすごまれたそうです。ところが、数年後サッカーワールドカップ南アフリカ大会に、大臣として行かれた川端達夫さん経由で選手の手に日の丸タオルがわたりこれまた脚光を浴びます!そんな寺田さんの新たな夢は、4年後のオリンピックに日の丸タオルを使って戦う選手やサポーターがたくさんいてくれることだそうです。
【質疑応答など】
滋賀県初の認定タオルソムリエで、インターネットでの商売を12年されています。タオルを作るのに一番大事なのは水、タオルは日陰干しで干す時にちょっとズラすのがコツ!真ん中を持って、20回振るだけで毛足が整って次の日は魔法のように柔らかくなっているなど、豆知識を教えて頂きました。
質疑応答では、心の病気が克服できたのは子供の運動会で息子が目の前の一つの事を頑張っている姿が、今一生懸命頑張ったらいいのに先の事ばかり憂いている自分を現実に戻してくれたとおっしゃっていました。
情報のデータベース化で、顔の見えないお客様ともフェース・トゥ・フェースで向き合うことができるし、パートさんでも誰でも同じ対応が出来るとのことでした。
今後取り組む社会性は、55歳で経営者を辞めて後継者を育てる!自分が一線から退く事だそうです。
冒頭の村田支部長の、「物があふれているこの時代にいかにして消費者のニーズを掴むか?参考になるお話だと思います」のお言葉通り、寺田さんのお話から行動力の大切さと少し何かに気づくことで売れるヒントってまだまだ一杯あることに気づかされました。
また、座長の松井さんから「寺田さんのとこでタオルを買ったらまた感動しますよ!」とのことでしたので、皆さんにはタオルの注文をお奨めします!
行動の中に感動がある!行動の中に喜びがある!という経営理念に相応しい経営をされている寺田さん、一緒に同友会で学びを深めていける日が来ることを期待しまして記録報告とさせて頂きます。
最後は、柳生家家訓 小才は、縁に出会って縁に気づかず
中才は、縁に気づいて縁を活かさず
大才は、袖すり合うた縁をも活かす
唱和でした。
記H,H