滋賀県中小企業家同友会

委員会活動について-政策委員会-

デービッド・アトキンソン著「日本人の勝算」のいくつかの論点を批判的に検討するPart2

政策委員会 委員会レポート

滋賀県中小企業家同友会政策委員会では、12月22日(火)16:00~17:30までオンラインにて「デービッド・アトキンソン氏著「日本人の勝算」のいくつかの論点を批判的に検討するPart2」を開催し、6人が参加しました。
政策委員の宮川卓也さんより、前回に引き続き、以下の通り報告がありました。
報告のあと、中小企業は地域社会のインフラとしての役割がある。アトキンソンはその事をまったく理解していない(しようとも思っていない)。付加価値生産性がどうしても低くなる分野を中小企業や小規模企業なになってきたという事実をどう捉えるのか。その分野は大企業であっても付加価値を上げることが困難なので、参入してきていない。極端に言えば、頑張っていようともなくとも、中小企業が地域社会の中に多数多様に存在し続けていることが、地域社会を支えていることを理解しないといけないことなどをディスカッションし確認しました。

★価格競争に巻き込まれていると感じている企業の割合(2014年・H29年通商白書)
日本 80%、中国 74%、フランス 71%、イタリア 68%、ドイツ 60%、米国 36%、英国 33%→日本の場合は国内企業よりも途上国企業(製品)との価格競争が激しい?
★日本の国内総生産(GDP)は低下したままですが、かつてのような国民総生産(GNP)で計ってみたら、もしかすると日本の値はそんなに低下していないのかもしれない、ということです。確かに、たくさんの日系企業が中国へ進出してそこで生産額を高め中国のGDP上昇に貢献したのは事実ですが、以前のように日本人が世界各地で上げた利益を全て加えたものをその国の生産高(GNP)とする、という考え方が今でも成り立つとすれば、日本の生産額もそんなに低いことはないとも考えられます。最近、こうしたやり方を取り入れようとするGNI(Gross National Income)国民総所得という考えも出始めています。これは日本人が国の内外であげた所得(Income)を基本にして国の経済力を示そう、とする考えです。GNIは、国内総生産であるGDPに、2つの要素を加えて計算されます。1つは海外の投資収益であり、 もう1つは交易条件の変化です。海外の投資収益とは、海外から流入した収益から、海外に流出した収益を引いた額です。日本国内の生産活動でなくても、海外への投資から得られる収益は国民の所得となります。日本は海外に膨大な投資を行ってきました。そうした投資からの収益を多く確保することは、日本国民にとっての利益となります。この部分がGDPには含まれていませんが、GNIには含まれています。GNIのもう1つの重要な要素は、交易条件の変化です。これは、日本が海外と貿易するときの輸出と輸入の交換比率を表したものです。単純化して言えば、輸出財の価格と輸入財の価格の比率のようなもののことを言います。交易条件がよくなるというのは、日本からの輸出財が高く評価される、あるいは輸入財が安くなることを意味します。現実の世界では、輸出される財やサービスにも、輸入される財やサービスにも、色々なものが含まれています。 そこで交易条件は、輸出財物価指数と輸入財物価指数の変化の差で表されます。輸出財物価指数のほうが 輸入財物価指数よりも高くなっているときは、それだけ日本の交易条件は改善していることになります。 逆に輸入財物価指数の方が高くなっているときには、交易条件は悪化していることになります。世界ではGDPが今でも基準体系となっていますが、これを増やすには成長過程にある人口が多い国が有利になります。事実、日本が中国に追い抜かれ世界第3位になったのはこの人口差が圧倒しているためです。ただし、一人当たりのGDPは2015年に中国は8000ドル程度であり、日本の32000ドルと大きな差があります。
★日本の製造業の生産性はアメリカやドイツよりも高い。小売業やサービス業の生産性は曖昧。欧米ではサービス品質が低いのでそもそもサービス人員を置かない。(レジでの袋詰など)(※4 229P)
★法人税は国の税収入の22%にすぎず、主要な部分を所得税や消費税の形で負担しているのは主に一般消費者です。その消費者の70%以上が中小・個人企業で働き収入を得ています。日本の企業の99%を占める中小企業が利益を削りながら社員に支給している給与の中から支払われている税金(個人所得税など)が国を支えているのです。わずか22%の法人税の負担だけを見て、多くの中小企業の存在を否定するような「中小企業=悪」論は“角をためて牛を殺す”議論と言わざるを得ません。実際は法人税の38% 源泉所得税66.8% 社会保険料の50% 従業員の給与からの所得税38%は中小企業によるものです また、赤字企業も法人住民税均等割り、固定資産税、事業所税等の税を負担しています。更に従業員の雇用維持と従業員の給与所得からの税収等で地域の経済に大きく貢献しています。(地方圏の雇用の約83.8% 都市部の53.9%は中小企業が雇用)現在、懸命に経営維持の努力をしている赤字企業に対してむやみに税負担を増やすことは事業の廃業や雇用の縮小を促す可能性もあり、トータルとして日本社会の安定を損なう可能性があります。一方で、現在赤字の企業であれば、経営体質を改善し、社員に世間並以上の報酬を支払う努力を続けなければなりません。実は歴史的に見ると日本の中小企業は決して「赤字が多い」存在ではありませんでした。一般に規模の小さな企業ほど外的経済要因に左右されやすいと言われており、その影響をまともに受けているのが、日本の企業、中でも中小・個人事業だと言えそうです。また一つの企業を取ってみても、長期にわたって安定して黒字と言う企業は極めて少ないのも事実です。多くの中小企業が常に「赤字」の危機と闘いながら、企業を存続・発展させることに全力を挙げているのが実態ではないでしょうか?単純な「赤字=悪⇒赤字企業は無くても良い」と言う議論は、実情を無視した議論であり注意が必要です。
★営業利益率が、10㌫以上の企業は大企業が8.8㌫、中小企業は13.4㌫。(「中小企業は進化する」・中沢孝夫)(経産省H11年)中小企業の売上高営業利益率50%以上のほとんどは、1~4人規模である
★一般に中小企業の利益率は大企業の利益率よりも低いとされていますが、それはあくまで利益率の平均値で比較した場合です。大企業と中小企業の利益率の分布を見ると、大企業のうち利益率の高い上位12%の層と、中小企業のうち利益率の高い上位12%の層を比べると、中小企業の利益率は大企業の利益率を上回っています。中小企業はその強みを活かしてイノベーションを実現すれば、大企業を上回る利益率を実現できる潜在力を有しているといえるでしょう。(2009年中小企業白書・井上 誠一郎 (経済産業省中小企業庁調査室課長補佐)
★1963年まで日本の全輸出額に占める中小企業輸出額は5割を超えていた(大林弘道)
★「小企業では大企業に比べて勤続年数が短いものが多く、学歴の低いものが多く、女性が多く、これが見かけ上の格差を拡大させている」「大企業・中小企業間の格差は、労働者構成をそろえることによって大幅に縮小」(経済企画庁の1985年報告書)※9 530P)
★中小企業のコストの安さは、とくに製造業においては、大企業の競争力を支えていた。1981年には300人未満の製造業中小企業の65.5%が下請け企業になっていた。1975年の日立製作所の下請け構造では、日立の分単価が45円だったのに対し、一次下請けは18~20円、二次下請け10円、三次下請け7円、さらにその下の内職者・家内労働者の受け取る単価は2~3円だったとされている。1980年代後半にアメリカのGMは約80万人の従業員で、年間500万台の乗用車を生産。それに対しトヨタは約7万人の従業員で年間400万台を生産していた。そしてGMが部品の70%を自社生産していたのに対し、トヨタの部品の内製率は20~30%だった(※9 532P)

?企業の生産性だけが、社会保障の問題ではない?
国民が安心して暮らせ、老後を迎えられる社会保障の充実の最大の問題は、税金の集め方と使い方です。
アトキンソン氏流に企業の生産性だけで社会保障を説明するなら、一人当たり名目GDP25位の日本が、国連の幸福度ラキングで62位という現実は説明できません。GDPに占める社会保障支出の割合は日本はかなり低い水準となっており、公的医療保険が未整備であるアメリカと同水準となっています。日本の水準は、ヨーロッパ諸国の3分の2、北欧諸国の2分の1でしかありません。また1980年から97年で見ると、日本以外の5カ国(米、仏、独、伊、瑞)ではた社会保障費の対GDP支出は、平均で5.9%から7.8%へと、国庫支出を増やしているのに対し、日本だけが4.1%から3.4%に、その割合を低下させています。1980年代から1990年代にかけて20年間は先進各国で、老人人口の増加が頭打ちとなるなか、日本だけが世界一のスピードで老人人口を増やした期間でもありました。日本の姿勢が、いかに世界の流れと比べて、異常であるか明らかです。
税収の偏り(大企業・富裕層への軽減の反面で、消費増税、社会保障の国民負担の増加)も含めて、是正することで現在の一人当たりGDPの元でも社会保障の充実は十分可能です。

?「日本には小さな企業が多すぎる」?
「日本では規模が小さい企業が多い」(※12 142P)
「福祉制度を維持するためには、生産性向上が不可欠。それには企業規模を大きくする必要がある」
(※12 146P)

★欧州委員会によると、2013年現在、EU域内には約2160万の中小企業があります。現時点で公開されているデータを基に比較すると、アメリカの1820万、日本の390万の企業数に比べてもEUの中小企業の数が多いことがみてとれます。(出所: Eurostat, US Census Bureau, 中小企業庁、Crowdcredit)
欧米に比べて人口の規模に対して、日本の企業の数は比較的に少ない。日本の中小企業の数は少ないが、雇用者数はEUやアメリカより多い(EU28=2013年、アメリカ=2011年、日本=2012年。アメリカは自営業を含む)
★アメリカの中小企業、一社当たりの従業員数の中央値は四人程度と日本よりも小ぶりです。中央値を基準とした場合、日本の典型的な中小企業は従業員数六人(平均値では十九人) 中小企業信用リスク情報データベース(CDR)

中小企業数

(万社)

人口 1社当たり人口 中小企業就業者数 1社辺り

就業者

EU28 2160 506000000 23.4 88800000 4.11
アメリカ 1820 310000000 17 48700000 2.67
日本 390 126330000 32.4 32200000 8.26

★「小規模企業を潰す」改革はこの20年間で着実に進んでいる(1999年の423万社が2016年には305万社に)2040年には295万社に。(財務省・企業数の将来推計)は2015年から25年に83万社が減少。これにより650万人の雇用と22兆円のGDPが失われるとしている。

?企業数減少は仕方がない???
★消滅する中小企業が生み出している付加価値と雇用を残された大企業でカバーすることができるのか?(※2 33P)厚労省の雇用動向調査(2018年)によると、常用労働者と有期労働者の比率は300人以上で31.1%なのに対し、5~29人の企業では13.5%。小規模企業を半減させ、企業規模を大きくすることは、一層の雇用の劣化につながりかねない。
★1972年から81年の10年簡に中小企業の就業者は680万人増えたのに対し、大企業は12万人しか増えていない。大企業正社員が量的拡大を止めていた中で自営業セクターから非正規雇用への労働力移動が起きていた(※9 534P)
★経済産業省「企業活動基本調査」のパネルデータを用いて、1996年度から2006年度にかけての従業員数の推移を見てみると、1996年度における従業員数が301人以上であった企業の約60%が2006年度にかけて従業員数が減少しているのに対して、1996年度における従業員数が50~100人であった企業の半数以上が2006年度にかけて従業員数が増加している。また、同じく1996年度における従業員数が50~100人であった企業においては、10年間での平均従業員数の伸びが大きくなっており、こうした点から、中小企業が事業を継続することによる雇用の維持・創出の効果は大企業を上回っているといえよう
★首里城の5万枚の瓦を造る技術者が無い。「伝統的技術やニッチな技能が消えていく」中小企業が姿を消した産業からは、業界を支える活力や技術が消える恐れがある。「中小企業を大事にしないと日本の競争力は維持できない」(日本電産 永守CEO)(※2 39P)企業規模の拡大は売り上げ・利益(「生産性」の分子)が期待できない技術、業種を維持・承継できるのか?
★駅前商店街が、駅前スーパーに客を奪われ、さらに駅前スーパーが郊外型大型スーパーに客を奪われる。結果公共交通機関としての鉄道が存亡の危機に立たされる。「郷土愛を持たない街づくりで目先のことしか考えなかった結果が今の釧路だ(フリーペーパ編集長)釧路の人口は22.7万人(1980年)をピークに16.8万。さらに減るので郊外スーパーも撤退するのでは?大手の進出で個人商店が消えた商店街。彼らを最終的に待ち受けていたのは街の活力の喪失だった。(※2 35P釧路の例)企業活動が地域のインフラであるならば、「生産性」だけで経営することは国土の破壊につながらないか?

?「零細企業と中小企業の経営者の経営能力の低さ」(313P)
★90年代の大企業と小規模企業の平均経常利益率の差は1ポイント代でしたが、2000年代からは3ポイント以上に広がり、2010年代も拡大傾向(日経ビジネス 2019.11.25)
つまり、時系列で変化しているのであり「規模の差=生産性の差」ではない。
★自社より規模の大きい同業他社と比較した場合「経営者との話しやすさ」が非常に優れている、やや優れているが、57.8%、(※3 Ⅱー62)

年度 黒字企業割合
1951年  83.5%
1960年  73.1%
1970年  69.7%  73年オイルショック
1980年  51.7%
1990年  51.6%  バブル景気
2000年  31.6%  08年リーマンショック
2010年  25.2%

中小、小規模企業の重要性
★「02年から08年にかけて中小企業の雇用は年率1.9%増加したのに対して、大企業は0.8%。
絶対数で見ると中小企業において940万人の雇用が創出された。小規模企業によって創出される雇用数が大規模企業のそれを上回っている(07~10EU調査)また小規模企業と新規創業企業は急伸的なイノベーションにおいて優位を占め、多くの新機軸はたとえ不成功に終わっても、大企業による実現を容易にしている。また新規創業企業は5~8年先の雇用成長にプラスの効果をもたらしており、これらのプラス貢献は労働生産性や収益性に関しての大企業の優位を十二分にうわまわっている」(※8)
★女性比率は、従業員1~4人の企業で56.1%。以下規模が大きくなるにつれて女性比率が下がり300人以上では39.5%。また60歳以上の比率は1~4人で29.3%、300人以上では10.3%。また非正規比率も女性で、1~4人52.7%、300人以上62。6%、60歳以上は1~4人で48.8%、300人以上で80.2%。就業年数も30年以上が女性で1~4人が20.6%、300人以上は3.1%、65歳以上で1~4人が52.6%、300人以上は11.3%。(※3 Ⅱー73)アトキンソン氏は「中小企業は有給休暇取得率が低いので女性活躍ができない?」(※7 317P)と言うが、そもそも低い女性雇用率で”活躍”(その定義すら明確にしていないが)をうんぬんすること自体ナンセンス。女性や高齢者の雇用よりも、「生産性=売り上げ/労働者数」の向上が大事という考えは、企業利益を国民の幸福の上に置く企業利益至上主義。

まとめ
1)アトキンソン氏の言う「中小企業=低生産性」論は、戦後の中小企業軽視政策の結果であって、中小企業本来の姿ではない。生産性が「売り上げ÷労働者数」であり、日本の中小企業が大企業からの低価格押し付け(※7 ※12で言及しているが的外れ)、途上国との価格競争(※12 257P国内の競争が問題ではない)にさらされた結果をさかさまに見ているだけに過ぎない。

2)したがって、そこから導き出される「生産性向上のための中小企業半減」論は正しくない。それどころか、雇用の劣化、様々な要素技術の衰退、国家を基礎で支える地域経済の崩壊など致命的な結果をもたらす暴論でしかない。

3)しかし中小企業の減少は年間10万社に昇っており世界でも突出して多い。すでにアトキンソン氏の言説は現実化してしまっている。従来から「グロヨン」「トーゴーサン」「法人成り」などの国民の重税感を背景とした中小企業経営者や農業従事者との対立をあおる言説があるが、それに加えてアトキンソン説を持ち上げることで政権はコロナ禍の中小企業支援策に消極的な姿勢を一層鮮明にすることが予想される。また、これによって必死に頑張っている多くの中小企業経営者が維持・発展の希望を失い、事業継続をあきらめててしまうことも懸念される。一説にはコロナ禍の長期化で休廃業する企業が30万社にも上るとされている(東京商工リサーチ)。

4)地域の中小企業は「生産性」のためだけにあるのではない。大企業が雇用しない様々な事情を抱えた、大多数の地域住民に日々の働く場を提供し、収入を保障し、仕事による成長や満足感を与え、地域社会を支える土台になっている。また欧米で試みられている「フレキシキュリティ」(※13)で課題になっている、「行政が個々人に最適な働き方を提供できるのか?」と言う問題に対しても、地域の中小企業が、人間的なつながりを基礎にして粘り強く取り組むことが解決の大きな要素になると思われる。

5)「最低賃金」を、早急に1500円を目標に上げていくことは重要。それは「生産性」のためではなく、日本経済で最も不足している「需要」を喚起するためでもある。そのためにはアトキンソン説とは真逆の中小企業に対する有効で適切な支援が不可欠。最賃法1条では「賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と書かれています。一方「平成30年国民生活基礎調査」によると、世帯の生活意識を問う質問に、57.7%が「苦しい」と回答しています。しかし2009年に発表された一橋大学の川口・森論文によると、2002年において最低賃金で働いていると考えられる労働者の約50%は、年収が500万円以上の中所得世帯の世帯員だと分かりました。一方、最低賃金で働いていると思われる労働者の中で、年収が199万以下の世帯主は全体の9.53%と少ないのです。年収299万以下まで対象を広げてみても、最低賃金で働いている労働者全体の14.91%にしかなりません。つまり最賃レベルの労働者の50%は同一世帯にさらに高収入の働き手がいて、本人の収入は副収入という位置づけであり現在の最賃でも貧困とは言えず、一方15%の最賃労働者は本当に貧困だと言えるのではないか?と言うことです。(松本 健太郎 JX通信社)

※1 強欲「奴隷国家」からの脱却 浜矩子
※2 日経ビジネス 2019・11・25号
※3 2020年中小企業・小規模企業白書
※4 デフレ救国論 増田悦佐
※5 「中小企業は進化する」 中沢孝夫
※6  日本の国難 中原圭介
※7  日本企業の勝算(電子版) デービッド・アトキンソン
※8  ヨーロッパ中小企業白書2009
※9 日本社会のしくみ 小熊英二
※10 GDP ダイアン・コイル
※11 生産性とは何か 宮川努
※12 日本人の勝算 デービット・アトキンソン
※13 フレキシキュリティ=フレキシビリティ(柔軟性)とセキュリティ(生活保障)を組み合わせた造語。「労働市場の柔軟性」と「労働者の生活保障」の矛盾する二つを両立させようと言う試み。特にデンマーク型のフレキシキュリティが有名。デンマークは以前は失業率が10㌫を越えていた。その対策として1990年代半ばから教育訓練を充実させ、同時に失業して一定期間経つと教育訓練を受けないと、失業給付をもらえない仕組みにした。EUは2007年にその導入を各国に奨励。デンマークが労働市場政策に投入している公費はGDPの4.5㌫。(日本は0.6㌫)