滋賀県中小企業家同友会

支部活動について-高島支部-

自然と共に生きる~自給自足のススメ~高島ブロック望年例会

高島支部 例会レポート

日 時:12月21日(水)18時40分~21時 会場:川新 参加者:20人
テーマ:自然と共に生きる~自給自足のススメ~
報告者:池田卓矢さん (株)薪来歩 代表取締役
座 長:北川渉さん NPO法人TSC 理事

池田さんは1980年の大阪生まれ。学卒後に大手チェーンの飲食店へ就職するも、月470時間労働というブラック労働で体重は10キロ減、3年で退職しました。飲食店を持とうとしますが業界の友人は不健康な人が多く、「好きなことでお金を稼げて、健康的な仕事」を模索します。
30歳を目前にして長野県で自給自足の生活をしている夫婦と出会い「田舎暮らしがおもしろい!」と実感。祖父が所有し40年放置されていた別荘地を譲ってもらい「100万円の家づくり」という本を読んで、半年間車で寝泊まりしてセルフビルドで家を建てました。長野県の夫婦が「ライフラインが途切れても、生きていけることを考えないとダメ」だと言っていたことを念頭にしたそうです。

自給自足の田舎暮らしを続けていた池田さんは、山と琵琶湖を守るには間伐材をお金に換える仕事が必要だと考えるようになり、設備屋さんと鍛冶屋さんと3人で薪ストーブの開発と販売を始めました。食とエネルギーとケアの地域自給のイベントを開き、荒れた山を整備して間伐材を薪にし、地元の木をエネルギーに変える活動に取り組みました。
デンマークから薪ストーブの輸入を始めたのは2014年から。中学校の同窓会で、デンマークに嫁いでいる友達との出逢いがあったからです。
2017年には長浜市の古民家を解体し、基礎工事から棟上げ、屋根張り、土壁塗り、床と壁張りもいろいろな人に協力してもらい、体験型の農家民宿「志我の里」を開業しました。建築費用はわずか400万円、補助金を受けたので実際は50万円で出来上がったと伺いビックリです。

自然エネルギーのある田舎暮らしをしたくて宿泊施設を始めましたが、そのお客さんが家を建てる際に、薪ストーブや薪ボイラー、太陽熱温水器を設置する仕事が来るようになりました。今では小さなリフォーム工事をワークショップ形式で行ったり、セルフビルド教室を開催し、建築業が手を出さない隙間の仕事が増えています。
業務用車で年間5万キロ走りますが、燃料は(有)橋本燃料の橋本翔太専務(同友会会員)のバイオディーゼル燃料(BDF)を使っています。カーボンニュートラルで、ガソリンがなくても全く困らない生活をしています。水道光熱費は家3軒で月6千円。セルフビルドで住宅ローンなし。毎月の生活費はわずか5万円で済むというから驚きです。


池田さんは薪ストーブを直接輸入し、煙突もオリジナルで作っているので、市場価格の半額から3分の2で設置できるとも。地震が来ても煙突で支えられているから転倒せず石油ストーブより安心で、既存住宅にも工事をすれば設置可能だそうです。
最後に「私の夢は、薪ストーブ屋が無くなる世の中にすること。薪ストーブが普及しすぎて売るところがない状態にすることです」と語って報告を締めくくりました。
座長のまとめ:自然環境というと経済的には合わないイメージがありますが、池田さんはビジネスモデルとしても見事に完成されています。高島での自然資源をいかした新しい仕事づくりへの可能性を強く大きく感じることが出来ました。

この後、2023年を企業と同友会の飛躍の年となることを望み、忘年会を開催しました。