滋賀県中小企業家同友会

支部活動について-高島支部-

高島ブロック7月例会~人を大切にする経営の実践から学ぶ~

高島支部 例会レポート

滋賀県中小企業家同友会高島ブロック7月例会(後援:高島市商工会)が12日(木)18:30~21:00まで安曇川公民館で行われ、31人が参加しました。
中小企業での人材採用や定着が焦眉の課題となっている中で、今回の例会では「人を大切にする経営 ~あり得ないほどのおせっかいが、社員の定着と好循環を生む~」をテーマに、(株)シンコーメタリコン代表取締役の立石豊さん(滋賀県中小企業家同友会甲賀支部所属)より、社長就任時はキツイ・キタナイ・キケンの3Kで、離職率が40%という大変な会社を大転換された、具体的な実践をお伺いしました。

 

以下、報告の骨子です。(記録:(株)アドパック 出口 大輔)


1.企業説明
祖父の代から85年の歴史を誇る会社。立石氏で3代目。33歳で社長に就任。
溶射で、皮膜を作る仕事。(金属等の摩耗を最小限に抑え、強度を上げる為の加工)

〇溶射の詳細説明
加工の方法、使用用途等 → 航空機のジェットエンジン、車輪、半導体分野
自動車のエンジンブロック、医療分野(インプラント)

2.シンコーメタリンコンの挑戦
国の補助金をフルに活用して設備投資などを行う。
サポインを活用してさらに大きな設備投資を行う。
「滋賀でいちばん大切にしたい会社(滋賀県中小企業家同友会のアワード)」認定を取得。
社員満足度80%以上の企業に与えられる賞 → 人を大切にする経営
社長就任時は3K職の為離職率が40%を超えていた為、改善を試みる。
A.いかに社員に実力をフルに発揮してもらえるかを考え、その環境を提供。
B.社風をアットホームでおせっかいな企業に。

シンコーメタリコン独自の取り組みを実施(大半は朝に思いついたことを、即実行)

1)ドリームセブン
⇒ 7日間連続休暇取得制度(強制休養)社員100%取得
下の子に仕事を任せられなかった職人さんも
休暇を取りたくて?任せるようになった。

2)イクメンファイブ
⇒ 5日間連続男性育児休暇取得制度(強制休養)社員100%取得
子供が生まれたらママを助ける為の休暇
子育ての大変さを実感。パパとしての責任感が生まれています。

3)育児休暇、育休出勤、育休後の対応
⇒ 育休中も月1回赤ちゃんと出社
月に1回出社してもらうことで、会社に帰ってきやすい環境づくり
職場復帰後の為の、当人の準備。
社長を交えての子育て面談(心配事、悩みを社長自身が相談にのる)
社内に子供の存在を認識させる事で社員が情を持ち、仕事をフォローしてもらえるような職場の空気が出来、子供の体調不良の際にも、良好な関係を築けています。
⇒ スライドワーク、短時間勤務 → 勤務時間の前後調整
ママが出社しやすい環境づくりになっています。

4)自己評価制度
⇒ 自分自身を評価
セールスポイント、自分へのミッション、目標の設置
その目標をどれだけ達成出来たかを評価する。
自己目標は具体的に、何をどうするかを記載
細かすぎるぐらいの評価(技術面以外の評価)
勤務態度、出勤状況、元気、挨拶、身だしなみも

◎年に2回20分間の個人面談
社長は個々の方向性を伝え、応援、叱咤激励をする。
社員と社長の情報共有
◎他部署への積極的な応援 総務も現場 生産管理者も出張工事など

5)各賞を受賞する
例:若者マイスター 現代の名工(近江の名工) 天皇陛下より黄綬褒章

6)定年後の継続勤務
75歳を超えても、高度な技術の継承など、その人たちの出来る事を。

7)チューター制度
担当チューターが新入社員の相談に乗り、細やかなフォローを

3.福利厚生の充実
1)社員旅行
⇒ 頑張った社員へのプレゼント
行先は海外 →旅費は会社負担で、お小遣い支給

2)各種手当
⇒ 決算賞与(儲かったら山分け)
⇒ 資格手当 10万円
⇒ 誕生日手当 10万円
⇒ スーツ手当 5万円
手当は全てが、社長からの現金支給。(重要)

3)社内結婚 全社員80人中6組が結婚(独身女性社員の50%が社内結婚)
⇒ 手作りウェディングパーティーや婚活の斡旋のおせっかいを。

4)部活支援
⇒ サッカー部、野球部等

5)社会貢献・地域活動
⇒ びわこ100km歩行大会への参加
⇒ びわこペーロン大会への参加

6)健康管理
⇒ 年に1度のインフルエンザ注射の提供

7)送別会、OB会開催
⇒ 送別会をしたからさよならではなく、元社員を家族としてOB会を開催

8)家族へのメッセージ
⇒ 社員の奥様、ご主人さまに向けてのメッセージ
結婚記念日にホテルのお食事券とメッセージカードを送る
⇒ 親孝行をテーマに取り組み
社員のご両親に対し、社員の誕生日当日にメッセージカードを送る
社員の写真を撮ってメッセージを添えて送る

4.ブランドスローガン(企業理念)

グループ討論では、私たちはどのような企業づくりをめざすのかを議論しました。


アットホームとおせっかいを基盤にした、社員満足度を高めるための、中小企業ではあり得ないほどの施策と、社員と向き合い関わる社長の姿勢に、参加者一同感動いたしました。また、企業が収益を上げることの意味は、社員やその家族の幸せを実現するためであることも、本当によく理解できました。口では「社員を大切にしています」という経営者は多いのですが、ここまで実践している社長にはなかなか出会えないと思います。「滋賀でいちばん大切にしたい会社」に相応しい、素晴らしいモデル企業の取り組みに「一つでよいから自社でもやってみます」という感想が多く寄せられました。有り難うございました。

例会の後の懇親会も、16人が参加してものすごく盛り上がり、ゲスト参加者花や「入会して人を大切にする経営実践を学びます」と決意が表明されました。