滋賀県中小企業家同友会

支部活動について-高島支部-

経営指針・社員共育・共同求人を三位一体として実践~高島ブロック9月例会~

高島支部 例会レポート

滋賀県中小企業家同友会 高島ブロック9月例会ご報告

2018年度高島ブロックスローガン「『陸の孤島、高島再生計画』心のスイッチに火をつけろ!」

高島ブロック例会が9月10日(月)18:30~21:00まで安曇川公民館で行われ、19人が参加しました。
報告者には宮川草平さん(宮川バネ工業(株)代表取締役 滋賀県中小企業家同友会 共育求人副委員長)をお迎えし、「ボロボロの事業承継から人が働きたくなる会社を目指して~後継者の想いから未来の社員が育つ環境づくり~」をテーマに経営体験の報告をしていただきました。
後継者から事業承継を決意した経過、社長になってからは、社員が定着し、高齢化した会社組織を新卒の採用が出来る組織へとどのようにして変革するために、経営指針の成文化と実践・社員共育・共同求人を三位一体として実践。経営姿勢を確立して労働環境を改善し、個別の面談やアンケートを通じて社員の自主性が発揮できる条件整備を進め、共同求人活動を通じて大学との信頼関係を構築し採用に結びつけるなど、大変に示唆に富んだ具体的な学びが出来ました。

以下:報告概要(記 出口さん)
1.自己紹介 宮川さんは、引きこもりのゲームオタク(汗)との事
自動車・家電・建築・農業・インフラ・重電等様々な業界にバネを供給する金属ブレス加工業者。
従業員数 39名 2016年4月から新卒を4名採用し、現時点でも退職せずに定着 しています。

2.ボンクラ後継者の事業承継
リーマンショック後に売り上げが40%減。その後も売り上げの減少が止まらない!。
従業員が高齢化している上に、「レベルが低い」(本当は後継者である自分のレベルが低かった、と後でわかった)と感じる。
そもそも組織として成り立っていない ⇒ 指揮系統がなく、個々が個々の思うようにバラバラで働いているような会社でした。
そんな会社を継ぐことはできないと思った宮川さんは会社を売却する決意をし、買い取りたいと申し出た同業他社の見学に行くことに。
そこで、疑問に思った事をあれこれ質問しているうちに、「自分にとって宮川バネが必要なのか?」と感じます。
今までの「受け身」の姿勢(あれが悪い、これがないからダメ、レベルが低いからダメ)から
会社を継ぐ為に最も必要な事は自分から動く「主体性」が大切という事に気づきました。
〇宮川社長が会社を継ぐと決めて以来、前社長は完全に身を引き口出しもしなくなりました。
後継者に主体性を持たせる為にも、渡す側は身を引いた方がいいと感じたそうです。

主体性をもった宮川社長は、経営課題にどのように向き合うかを考えました。
自社は                 成功している会社 は
・売り上げが足りない 利益が無い ≠ 独自性をもった「やるべきこと」がはっきりしている
・技術継承できる人がいない    ≠ 「やるべきこと」が具体的に計画に落とし込まれ、組織内に周知共有されている
・組織力がほぼ皆無       ≠ 「やるべきこと」の実現に向けボトムアップで組織づくりが行われている
そこで、まず滋賀県中小企業同友会「経営指針を創る会」に参加します。
そして経営理念を作成したものの、自社でなにをやるべきなのかが見つからないままでした。
そこで、まず「求人・採用」に関心をもちます。
⇒ 同友会の先輩からの一言「仕事があるから人を採用するのではなく、人を採用して仕事を作るのが経営者の仕事」 !衝撃を受けました。

求人・採用に関心を持った理由(ダメバージョン)
自社社員がどうしようもないから、言うことを聞く人間を集めよう! ⇒ 社員が次々と辞めていく ⇒ やはり人のリスクは 高すぎる。優秀な人がいる会社ではなく人を育てられる会社にしよう。そうすれは辞めたきゃ勝手に辞めると言えると考える。⇒このような人間尊重の経営とはかけ離れた不純な動機で採用活動をスタート しました。

 


今いる従業員を信頼せずに採用活動を行ったらどういうことになるかというと
「君の先輩社員はどうそうもない人間だが、君はそれに染まらず立派な社員になって会社に貢献できる人材に育ってほしい」
とは、さすがに言えないと思い「今いる社員を育てないと、採用しても育たない」という考えに至ります。

そこで、社員共育、採用を同友会頼みで行くと決意。
「経営指針成文化」 ⇒ 経営指針を創る会にOBとして参加  経営労働委員会にも参加
「社員共育」 ⇒ 共育委員会に参加
「共同求人活動」 ⇒ 滋賀県ではその当時誰もやっていなかったので、自分から共同求人の立ち上げ参加

宮川さんを変えた出来事
①社員全員と個人面談
各々の話を反論せずに聞くことに徹した。
⇒ 自社社員が意外と会社の事を真剣に考えていることに気づく。 それを前向きな行動に結びつけてあげれたら・・・
②経営指針を創る会での出来事
従業員に感謝していますか?と問われるも感謝をしていなかった事に気づく。
その後、採用の厳しさや、定着の難しさを知り
「うちで働いてくれて今まで辞めていないだけでもありがたい!従業員マジ天使」と感じるようになる。

その後、同友会で2冊の本や、例会、創る会で学ぶ。
参考書〇「人を生かす経営」
「人を生かす経営」の画像検索結果
参考書〇「持続可能な企業と地域の為に」

「持続可能な企業と地域のために 共同求人」の画像検索結果
学んだ事全ては「知っているだけ」なので、実践を通して腹落ちし「良い経営者」に近づく事が出来る。
自分本位で考え始めた社員共育・求人が同友会理念と一致していくことを感じました。
⇒ 会社は、退職者が0となる。
⇒ 売り上げ減少もストップし、二期連続の増収
⇒ 組織としても成長し、社員(リーダー)自らが「宮川バネ100年計画」というイベントを自主開催するようになる。

求人と定着
自社従業員の年齢構成表を作成し、自社の将来の姿を実感してみる。
⇒今後、若手採用をしていかないと、事業の継続すら危ういかどうかの判断をしてみる事
なおかつ、若手採用が厳しい時代で、去年頃(2017年)から状況が一気に悪化
⇒結果、新卒採用が出来ない問題に併せて、人材が好条件の企業に流出してしまうということにつながる

つまり、中小企業が「いい人材が来ない」ではいけない
自社に来てくれた人材を育てられる企業になる必要がある!
と気づきます。

社員の定着への3つのアプローチ は
・辞める理由を潰す
人が辞める理由はなんなのかを考えて、その理由を潰していくこと 。
・辞めない理由を作る
経営指針書を作成し、この会社で働くことで将来何が実現されるのかを示す事。
・すぐ辞める人を採用しない
最初から、辞めそうな人を採用しない。
足りなくなってから補充しない。
経営者がきちんと自社についてありのままの姿を語り、見てもらう事。
面接の段階で、何社かから内定をもらっているような子は採用には踏み切らないそうです。

宮川バネの取り組み (良い労働環境作り)
年間休日112日
平均有給取得日数18日
平均残業時間 2時間/月
⇒有給はほぼ無理やりでもとってもらう。
もちろん生産性は落ちてしまうが、落ちないような工夫や方法を社員にも一緒に考えてもらう。
・ユースエール認定
⇒https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000100266.html
「ユースエール認定」の画像検索結果
⇒優良企業である証明(対外アピール)
・職場満足度アンケート
これから、滋賀県中小企業家同友会のアワード「滋賀でいちばん大切にしたい会社」アンケートにも挑戦したいとも。
⇒https://shiga.doyu.jp/shiga1/
⇒アンケートを取る事で改善点を見出す
・教育体制の整備
⇒就業時間内の勉強会、研修参加、資格取得の勉強を推奨(もちろん労働時間内)
資格取得者0人/年から5人/年へ

宮川さん方の問題提起を受けて、「社員はなぜ辞めていくのか」についてグループでリアルに討論。




自社経営の持続と発展に欠かせない、「社員の採用と定着」について真正面から切り込み、成果を上げつつあり事例報告と、わが社の課題が明らかになって例会でした。

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