滋賀県中小企業家同友会

委員会活動について-ユニバーサル委員会-

障害者からの提案で事業創造し年商30億企業を育てた人をいかす経営~ユニバーサル委員会~

ユニバーサル委員会 委員会レポート

滋賀県中小企業家同友会ユニバーサル委員会・新春オープン学習会が2021年1月14日(木)10:00-11:45まで同友会事務局とオンラインシステムZoomのハイブリッドにて開催され、22人が参加(リアル13人・Zoom9人)しました。

特別報告ゲストには、秦 政 氏(NPO障がい者就業・雇用支援センター理事長)をお迎えし、「障害者が働き続けるために企業が果たすべき役割~障がい者雇用が求められる背景と意義~」をテーマに約60分間の問題提起をしていただきました。

秦氏は1941年11月三重県津市ご出身。慶應義塾大学商学部卒業後・日鐵商事株式会社入社・人事部配属。1969年6月に(株)日本リクルートセンターに転職し、テスト部配属から同社営業経理部長を経て、障害者雇用促進特例子会社設立準備室長を立ち上げ、準備室長に就任されました。そして、1990年2月に障害者雇用促進のための特例子会社リクルートプラシス(現リクルートオフィスサポート)を設立し、専務取締役就任。2001年3月に同社専務取締役退任されました。その後も、2020年2月に京都市北区にて一般社団法人ひとつぶの種を設立。“差別のない会社を創ろう!”を合言葉に、多くの事業を立ち上げておられます。

ゼロから事業をスタートし、今日では売上30億円を超える多くの事業を生み出したのは、「障害のある社員からの提案」であったという実践を踏まえたお話は、障害の有無ではなく、人を生かす経営の本質に迫るものでした。

いま、企業にとっての障害者雇用とは、社会的な使命は当然のこととして、障害者とその家族約2、000万人の巨大なマーケットを把握し経営戦略にいかせることであり、ユニバーサルな職場づくりを進める人材育成にとっても必要なことであると強調されました。

そのためには、“障害がゆえにできないことがある”を知る。“苦手の克服”を求めるより、“得意を磨く”支援をする(出来ないことを努力して少々できるようになっても、得意な人には勝てない。出来ることをさらに伸ばすから、事業としても成り立つ)。“あれもこれも”ではなく“ひとつずつ”(慌てない・焦らない・諦めない)ことが大切だと仰います。
私たち経営者は自分にとっての常識や普通と言う概念を持って、社員に出来ないことを求め続け、かえって社員の可能性の芽を摘んでいないかと考えさせられました。

しかし、「人間誰しも最初は素人。無限に伸びる可能性を信じたい」と述べられ、一人ひとりが伸びる条件と環境作りを提起されました。
さいごに、障害者の雇用を通じて学べることは、人に優しく柔軟な仕事環境であり、これからの企業にとっては先手必勝で実践すべきことだと締めくくられました。

このあとリアル参加者とZoom参加者に別れてグループ討論を行い、活発な意見交換、質疑応答が行われました。