滋賀県中小企業家同友会

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事業を急拡大することよりも、対前年比 101%を 100 年間続けること~大津支部12月例会~

大津支部 例会レポート

テーマ 創業116年!!凡事徹底の世界~目指すのはヴィトンよりエルメスだ!
報告者 村上 彰一氏 有限会社 村上開新堂 代表取締役(京都同友会)
日 時 2023年12月15日(金)18:30~21:00
会 場 琵琶湖大津館
参加者 61人

「事業を急拡大することよりも、対前年比 101%を 100 年間続けること。それが、先代からバトンを渡され、次の世代へバトンを渡す、村上開新堂四代目の私に課された使命だと思っています。ご清聴ありがとうございました。」
しばしの沈黙。そして、参加した 65 名の方から送られる万雷の拍手。
心を打つ物語は、聴き終えたあとに名状しがたい余白があり、その「余韻」がじわじわっと、心に浸みてくるものです。
年の瀬迫る 12 月 15 日金曜日。歴史を刻んだ琵琶湖大津館を開催地として選んだ今年最後の大津例会は、そんな「余韻」を愉しんで頂けた例会報告となりました。

「目指すのは、ヴィトンよりエルメスだ!」というキャッチ-なタイトルの報告者は、明治四十年創業の老舗洋菓子店四代目、村上彰一氏。
「彼が、あの有名な村上開新堂の社長か。どんな話になるのだろう?」これから始まる村上開新堂物語に、興味津々の聴衆。
聴衆をなごませる軽い冗談と静かな口調で、その物語は始まりました。
会社の歴史と現況紹介の序章は、噂にたがわぬ驚嘆話。
「天皇家」「文明開化」と、庶民出の私たちには憧れでしかない、村上開新堂の社史 116 年。その血統を引き継ぐ四代目。勝つために生まれ、駿馬になるための環境で育て上げられ、常勝を続けるサラブレッド。
村上さんもそんな血統馬だと思いきや、実は超庶民な環境で育ち、学生時代は遊び人だった過去。
他にやりたいこともなく、消去法で開新堂に入社したものの、遊びの世界に未練たらたら。
そんな、当時のダメ男ぶりをカミングアウトする第二章。
その意外性に聴き手は内心驚き、村上さんの話に更に引き込まれます。

今は人もうらやむ天下の村上開新堂。
実は村上さんもその過程で、私たち普通の経営者と同じように悩み、経営者としての自分探しを模索する日々だったという第三章。
そして、圧巻の最終章。それまでは、どちらかというと静かな語り口。
その穏やかなトーンが、最終章に入るやいなや、村上さんにスイッチが入ります。
若い時に衝突し続けた、職人気質の叔父への想い。
先代や社員に対する感謝の念。開新堂の歴史の意味を咀しゃく反すうしつづけ、「村上開新堂」の在りかたや目指すべき未来について、自問自答を繰り返す現在(いま)。


そして、開新堂の今と未来をつなぐ本質的な価値として、村上さんの心情うごめく想いから絞り出し、紡ぎだされた「凡事徹底」「毎年 101%を 100 年間」「村上開新堂らしさ」という言葉。
その信条を軸に、村上開新堂の未来を描く最終楽章。聴く側の社歴や立場に関係なく、心を揺さぶられ続けるフィナーレでした。
「未来を決める意思決定で最も重要なのは、分析でも論理でもない。勇気である。」(P.ドラッカー)


「会社の未来を決めるのは、社歴でも、環境でもないんだな。大切なのは、本質的な価値を見極め、その信条を基軸に行動し、最後までやり抜く”勇気”なんだな。」
そんな“勇気”が余韻として残った、60 分間の村上開新堂物語でした。
(記:小林清)