滋賀県中小企業家同友会

支部活動について-大津支部-

大津支部・高島ブロック7月合同例会を開催しましたー人口減少にどう向き合うか・経営者の役割とは・経営指針書と10年ビジョンー

大津支部 例会レポート

7月24日18:30~21:00、木戸公民館において、大津支部・高島ブロック合同例会を開催しました。会員、ゲストふくめ58名が参加しました。
ご報告は、山梨同友会から志村優さん(株式会社クリーニング志村 代表取締役社長)にお越しいただきました。
志村さんは、クリーニング屋の三代目社長です。幼少の頃から家業を継ぐことを考えておられましたが、実際に決心されたのが大学3年のときに父親が病に倒れたときでした。その後、2社でクリーニングの修業をしたうえで、26歳で常務として自社に入社されました。

 

入社当時は、大学生時代の体育会系の気質で現場のスタッフにはズバズバと率直に発言してしまい、衝突も絶えなかったとのことでしたが、シミ抜きの技術を県外のスクールで身に付けたことから、「常務ならやってくれる!」と信頼を得ることができました。ところが、「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」を徹底し、業務量が増加、仕事が辛くなりスタッフが辞めていくことが増えてきました。同友会には当時から入会されていましたが幽霊会員の状態が続き、支部幹事になられたことをきっかけに経営理念作成のための合宿に参加され、「なぜ経営しているのか?働いてくれている人への思い」を考えるきっかけとなり、経営理念を作成されました。ただし、当時は経営指針を作成しておられず、将来の計画もありませんでした。

その後、社長に就任されましたが、就任1週間後に社員の70万円の横領が発覚!さらに数年後には別社員が700万円の横領!このときは「社員の責任ではなく、自分自身に非がある。罪を作らせない仕組みが必要である」ことを痛感されました。さらに、勤続25年の役職者である社員を断腸の思いで解雇することがありました。技術力はあるが気分屋の社員であったことからパート社員が年に数人も辞めていき、パート社員の不満が爆発していたのでした。父である会長と弟とも考えが合わず決別、業績回復に着手されました。
毎年人口5千人が減少していく山梨県で生き残るために、自社の問題点をお客様アンケートにより探ってみると全体的に支持されているにもかかわらず、売上げが伸びていないことが分かりました。社員に現状を話し、役員報酬の減額、値上げ、立地の良い場所での新規出店、成功と失敗を数値化するなどした結果、業績が急回復しました。各方面で表彰を受けるなどし、自信を付けることができました。

ところが、世間の評価と同友会の中での評価は反比例でした。広島同友会の先輩からは「お前の話はつまらん。大企業の経理部長と話しているみたいや」と言われ、自分の周りには成功体験を聞きたいと集まってくる会員もいない・・・。

それは、過去の成功体験を語っていただけで、将来の不安からビジョンを語ることがなかったからでした。ライバルである同友会の会員は、未来やビジョンを語り、社員に活気があり、イキイキと働いていることが分かり魅力的であることが分かりました。
この出来事をきっかけに「経営指針を作る会」に参加、経営指針書は社員と共に作り、思いをさらけ出して共有しなければならない」ことを学ばれ、出来上がったのが、「クリーニング志村 10年ビジョン」でした。

経営指針書と10年ビジョンが出来たことで、自分自身も社員もやみくもに必死であった毎日が目標を持った毎日へ変化しました。やれない言い訳が多かったのですがなくなりつつあり、チャレンジするようになりました。また、物事の優先順位が顧客優先から社員の幸せを優先することにより、社員の笑顔が増え、社員のために定休日を新たに設けたにもかかわらず、売上げは下がりませんでした。また、新規出店のアイデアや準備作業を社員を信頼し対応させることで、社員の仕事に対するやりがいや成長に繋がりました。これはまさに、社員のやりがいや成長が会社の経営発展に欠かすことができない好事例であると言えるのではないでしょうか。